ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

地震から逃れられない国(2)

僕自身は幸い阪神大震災で大きな被害はなかったのですが、改めてここで震災で亡くなった6000人以上の
方々のご冥福を心からお祈りいたします。また、身近な方を亡くされたことで心の傷を負われ、
震災から10年が経った今でも辛い日々を過ごされている方々の様子を1月のNHKスペシャルで拝見しました。
心の底からお悔やみを申し上げます。


(1)の続き

当時、僕は親たちと公団住宅の古い団地に住んでいた。'70年前後に建てられた団地である。
下記はその頃の僕の部屋の見取り図。(殺人現場の見取り図みたいだが)

イメージ 1

四畳半なのだが、「団地サイズ」なので実質昔の三畳分くらいじゃないかとうちのオカンはいっている。
地震当時は上記のような位置で寝ていた。手を広げれば両サイドの家具におもいっきしあたる広さで大の字に寝るのさえ不可能。部屋の空きスペースと僕の174cmの体とほぼ同じくらいで、テレビもリモコンがいらないくらいの狭さだ。その狭さゆえ、当然ベッドなどという洒落たもので寝ているわけもなく、布団で寝ていた。

さて、地震で揺れたのはわずか数秒。僕は体質上、眠りは浅いほうなので、揺れだした瞬間に目が覚めてアタマはフル回転に始動したのだが、その数秒間がとんでもない揺れで何がなにやらわけの分からん状態に。
うちの近辺は震度5強~6弱くらいだったとおもう。
※余談だが、阪神大震災以前と以降ではこの震度という測りの連続性が希薄になっている。
それまで震度とは気象庁の関係者が感じた或いは調査した結果を判断して発表に至ったのだが、現在はご存知のとおりすべて機械により瞬時に出している。
震度5以上の地震阪神大震災以降、急増している。これは大きな地震が多くなったというより、測る目安が変わったためだと個人的に思っていたし、実際それを指摘する専門家も数年前から出始めている。阪神大震災以前の震度5強と今のそれでは被害の状態が素人目にも明らかに違う。

さて、揺れはすぐに収まったが、僕の部屋はぐちゃぐちゃで何がなんやらわからない。
冬の朝6時前なのでまだ外は暗い。何やら目の前にでかい物体が寝ている僕の上を覆いかぶさっていた。
洋服ダンスである。ただ、部屋が狭すぎて倒れきる前にAVラックにあたって、僕の寝てるところはちょうど空洞になっていた。中途半端に広い部屋だったら僕は直撃である。安物のタンスゆえ、圧死まではいかなっただろうが、それが重いタンスだったら、もしくは打ち所がわるければと思えば恐ろしい。
僕の部屋に飛び込んできた家の者は部屋の状態に驚愕していた。

目がだんだん慣れてきたので、僕も起きて周りを見てみた。既に述べたように、本棚と梁を金具で留めていたのだが、梁ごと本棚が前のめりになっていた。当然ながら、中に入ってたCDや本は飛び出して散乱状態。まぁ、そんなのは大したことないんだが、問題はテレビである。枕元にテレビ台から20インチほどのテレビが落ちていた。
テレビ台から落ちる分には所詮低いところからだし問題ない。恐ろしいことに、枕元に僕の記憶にないテレビがもう1台落ちていた。
14インチのテレビなんだが、なんとこの普段使わないテレビ、うちのオカンが僕のしらぬ間に勝手に洋服ダンスの上に置いていたのだ (上記見取り図の「?」がそれである)。
1m80ほどもある高いところからこのテレビが落ちてきたのだ。即ち、この狭いスペースにおいて僕の枕元に2台もテレビが転がってたわけで、僕の頭に当たらなかったのは奇跡といっても過言ではなく、それこそアタマがちょっとずれてたら、直撃で即死も有り得た事態だったのである。
普段から地震に危機感を覚えていた僕だったが、危うく親に殺されるところであった。

後に分かったことなのだが、僕が住んでたその公団住宅の古い団地はビクともせず、ヒビ割れなども殆ど皆無だった。そのように建物がしっかりしていても家具が倒れれば、もしくは重いものを枕元に置いてれば、簡単に死んでしまう事態になりかねない。実際、うちの団地内で、圧死された方も数人いたのだ。僕がなんともなかったのは偶々である。


日本の生活環境では家具に囲まれた場所で就寝されてる方も多いと思われる。
家の耐震強度なんてのは簡単に強化できないが、家がビクともしてないのに家具などで圧死するのは何とも悔やみきれないものがある。
皆さんも寝る場所だけはホントに気をつけてもらいたい。
重いものが倒れてくるようなとこでは寝ない、それが無理なら壁に固定する。頭に落ちてきて
致命傷になるようなものは寝るとこに置かない。これらは必須である。

さて、薄暗い中、手探り状態で狭い家のなかを歩き出した。当然ながら電気は点かなかった。

(3)につづく。