ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

NHKスペシャル「731部隊の真実 ~エリート医学者と人体実験~」

まずはこの番組を制作したNHKスタッフに賞賛の声を贈りたい。
この手のドキュメントを制作するにあたり、一步表現や取り上げ方を間違えれば右翼連中から相当なバッシングを受けることになります。(おそらく昨日の放送を受けて既に抗議が入ってるはず)
制作の最終段階で何度も何度も出来上がったテープをNHK内で視聴し、問題点をチェック⇒修正が繰り返されたことは容易に想像されます。
相当神経をすり減らすであろう題材に敢えて取り組んだだけでも賞賛に値します。

日本に対して女・子どもを含む民間人を焼夷弾で焼き殺し、実験的に原爆を2発も落とした当時のアメリカ人も「鬼畜」といえるかもしれませんが、正直な話、当時の日本人はそれ以上の鬼畜と言っても過言ではありません。
まず、先日のNスペでも触れてましたが、そもそもアメリカに民間人虐殺の口実を与えたのは日本人です。
日本は米国から空襲を受ける前から中国・重慶などで空爆をしており、民間人を虐殺している事実があります。もちろん重慶の犠牲者は米国からの空襲による日本人の死者数と比べれば数十分の一ですが、死者の数とは関係ないでしょう。
「既に他国に対して虐殺行為をした日本に対して同じ虐殺行為をした」と米国に言われればそれまでですし、実際にその正当性を持って空爆したようです。

そして当時の日本の残虐行為の最たるが旧満州における「731部隊」でしょう。
満州などで反日行為を行った人たちを死刑囚として送り込み、細菌兵器や凍傷なんかの実験台として多くの人々に対して惨たらしい殺戮を繰り返しておりました。

NHKは今回、旧ソ連で行われたハバロフスク裁判の音声記録を発掘して、当時の部隊中枢メンバーの証言を入手。他の膨大な資料などと付き合わせて当時の状況を浮かび上がらせました。
731部隊へ「少年兵」として放り込まれた当時14歳の少年は現在も存命しており、その方のインタビューを踏まえるなどNHKならではの緻密な構成となっています。

まぁ右翼連中からしたら、そのテープの信憑性やそもそも証言自体がソ連の連中から無理からに言わされたんだろうと言いかねませんが、これまでに既に公にされている案件・・例えば九州大医学部での同じような人体実験なんかと照らし合わせてもほぼ事実とみて間違いないでしょう。
当時の日本人は完全に常軌を逸した狂った民族だったのは特攻などからみても分かる話です。

そして、これら残酷な実験に関わった中心人物が京大・東大を中心とする全国から選りすぐりのエリート医学者たちであったということ。ちなみに京大はNHKの今回の取材に協力しておりますが、東大は組織的に関わったことを否定しており、取材に応じておりません。最高学府ともあろうところが情けない話です。
これら大学には当時の政府から今の日本円にして数百億のカネが流れていることも今回のNHKの調査で判明しております。

そして虐殺を行ってきた医学者たちは日本の降伏が間近と見るや、特別列車にて旧満州を脱出、日本に帰国し、普通に善良な市民かのごとく生活をし、それぞれの分野での権威となったり大学の学長などをしております。
731部隊でのデータをアメリカに提出することで彼らは戦犯として裁かれることもなかったのです。

基本的に現在の安倍政権を支持し、憲法改正も大いに結構という立ち位置の私ですが、この安倍氏の先の戦争を美化する思想には到底賛同できません。
「いつまでも謝罪ばかりしてられない」というのはわからんこともないですが、やはり「加害者」である日本人は先の戦争におけるアジアでの残虐行為に対して真摯に向き合わなければなりません。
そういう姿勢でもない限り、9条改正は今後もなかなか厳しい状態がつづくでしょう。

最後に番組ラストに取り上げられた731部隊の軍医・柄沢十三夫氏の裁判での心情を吐露した発言を併記します。当時、人体実験の細菌培養の責任者です。
途中、声を詰まらせながら、テープなので映像はないのですが、おそらく家族の話以降は泣きながら彼は語っております。

自分は現在平凡な人間といたしまして、自分の実際の心のなかに思っていることを少し申してみたいと思います。
私には現在日本に・・・82になります母と妻並びに2名の子どもがございます。
なお私は自分の犯した罪の非常に大なることを自覚しております。
そうして終始懺悔をし後悔をしております。
私は将来生まれ変わって、もし余生がありましたならば、自分の行いました悪事に対しまして生まれ変わった人間として人類のために尽くしたいと思っております。

この軍医は刑に服した後、「帰国直前に自殺したと伝えられている」とのことです。