アニメ「一休さん」をご存知の方ならこの第9話のサブタイトルには違和感があるでしょう。
一休さんのサブタイトルは「たけのこと虎退治」「あくびと猫の茶碗」といったように○○と○○というように二つの事象や名詞を並べるのが常なのですが、この回のタイトルは全296話の中でも珍しくそれから逸脱しておりまして(他には最終回がこのパターンのタイトルではない)、通常とは違う意気込みの内容であることが読み取れます。(この回の脚本はアニメ「一休さん」の核である辻真先氏)
このアニメは中期ごろから「やんちゃ姫」やら「どちて坊や」が出てきて「お笑い色」が強くなっていくのですが、始まった当初は実際の歴史を絡めたシビアな話も多く、子供が見るものとは思えないほどの内容となっています。
一休さん 第9話「めでたくもありめでたくもなし」
んで第9話ですが、正月に桔梗屋に呼ばれた一休さんたちは腹いっぱいの餅にありつけられたのですが、当時の世は南北朝の動乱直後で飯どころか家もない人が多く、一休さんはその人たちをどうにか助けることができないか頭をひねります。
下記の動画はその回のラスト4分なんですが、全然子ども向けとは思えない異常な緊迫感です。
この回は一休宗純が本当に残した以下の言葉と世の中の不条理を絡めたちょっと異色の回なのです。
門松は 冥土の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくもなし
一休さん 第9話「めでたくもありめでたくもなし」
第一話はおそらく私は今回初めて見たので感動です!
一休さんには様々な禅問答がありましたが、私が憶えてる印象的なものがあります。
えらいお坊さんかなんかと一休さんとの問答で以下のようなものがありました。
一休さんが答える側だったのですが回答できず、まだまだ勉強が足らんと諭されていた記憶があります。
「香炉峰の雪とは何ぞや」
「簾をかかげて看るもの」
全然「とんち」とかいうレベルではなく、大人でも訳のわからん問答ですw
そもそも我々子どもの頃は当たり前のように一休さんの禅問答時の「そもさん」「せっぱ」を真似て言い合ってましたが、漢字にすると「作麼生」「説破」で中国宋代の俗語とのこと。
改めて言うまでもなく、大人が見ても学ぶことの多い良質なアニメなのです。