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一応、風景写真がメインです

傾斜マンション杭打ちデータ改ざん問題:大震災の教訓は活かされず

私は以前からこのブログでもリアルの世界でも「日本の土木・建築物は世間が思っているほど確かなものではない」と言い続けております。(クソシロウトですがw)
まさか中国や韓国みたいに地震もないのに急にビルが崩れ落ちたりとか、さすがにそこまで酷くないとは信じたいですが、あくまで世間一般が信用するほどのレベルでちゃんと建造しているとは限りませんよ・・ということです。

それは阪神大震災の現場で実際に見てきて、唖然とする構造物が多すぎたからです。
もちろん、きちんと作っていることが証明されたものが大半だったとは思いますが、やはり異常な崩壊を遂げた構造物をあちこちで見ると、その印象が強く残ってしまっています。

しかし、震災後はちょっとはそういう「手抜き」についても改善されているのかと思ったのですが、結局そうでもなかったのでしょうか?



10月22日、旭化成旭化成建材のおえらいさんが出てきて記者会見をやってたんですが、その時の旭化成建材執行役員のオッサンが妙なことを抜かしてたんですな。

杭打ちデータを改ざんしていたのは当時下請け会社から出向していた男性だったらしいのですが、その人への聞き取り調査をした印象として、「ルーズで事務処理が苦手そう」と言うんですわ。
あたかもこの自分の会社と関係ない「下請けの能力不足の男」が全て悪いかのような言い回しだったんですが、改ざん時に下請けの出向だった男性はその後ほどなくして、旭化成建材によって契約社員として取り込まれております。
普通に考えて能力のある人だったからでしょう。

そもそも、たかが下請けの人間がマンション工事の基礎中の基礎で一番要の杭打ちデータの改ざんなんて何のためにやります??
ひとりで改ざんするメリットがよくわからない。
「コイツらめちゃくちゃうさんくせーな」と私も含め誰しも思ってたでしょうか、案の定です。

既に旭化成建材の中で少なくとも10人以上が全体の1割にのぼる300件について、データの流用を行っていたことが発覚しはじめております。

まぁ普通に考えて、早々に旭化成から見切りをつけられて、この旭化成建材とやらは倒産させられるんでしょうが、この会社の行く末なんかはどうでもいいとして、問題はこの業界ではこういう改ざんは一般的なのではないか??ということがぽろぽろと囁き始め出してることですわ。

これまで改ざんしてきている業界の連中に言わせれば、「あくまで成果としての提出物の体裁を整えるのにデータを改ざん・流用しているだけで、強度においては殆どの杭は支持層まで到達させているので、安全面においては計算上は余裕を見ているし、まず問題はない」とか言いたいところなんでしょう。

・・が、そういう問題ではないんだわ。
「改ざん」というものが成果物の中で入り始めると、実際に計算上に余裕があるとか安全上はまず問題ないとかそういうことではなく、一切のデータが「だいたいの目測」になってしまって、何を持ってして安全基準をクリアしているか、全く何の根拠もなくなってしまうわけです。
逆に自分のパートにおいてちゃんとしたデータに基いて設計・施工をしていれば、何か問題が発生しても自分たちの成果物を見せることで言い逃れができるかもしれない。
要は100%安全な施工でも改ざんが介入することで「全く胡散臭いシロモノ」になってしまうことがこういう業界のヤツラは分かっていない。
「そんなのは分かっているが工期と経費が・・」とか言うかもしらんが、どんな理由であれ改ざんに手を染めるということは事の重大さが分かっていない証拠です。

しかも気になるのはこの業界ならではの(といっても今やどの業界もそうだが)、「下請け」とか「孫請け」の存在ですわ。
そもそも旭化成建材自体が下請けなわけですが、そこがまた肝心要の杭打ちについて更に下請けに丸投げしているという事実。
相変わらず元請けは下請けに仕事を流してるだけで実作業はもちろんのこと、最終チェックや監視すらもせずにカネだけふんだくってるという構図です。(異論は認めるw)

こういう「改ざん」が当たり前になってるとしたら恐ろしい話で、近いうちにどこかの大都市で発生するだろう地震が来た場合にどうなるのか。
その後に広がる光景はもしかしたら、阪神大震災で私が見た異常な光景・・「壊れるはずがないものが壊れている光景」がよりひどくなっていることもありえるのかと。

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