私が小学生の頃によく遊んでいた公園でして周辺は閑静な住宅街なんですが、その公園と道路を挟んだ位置にあるのが「汐義(しおよし)建設」です。
新名神の橋桁落下事故現場で下請けとして関わっていた建設会社で、事故で亡くなった若いお二人はいずれもこの会社の方です。
事故発生時、私は偶々事故現場から数キロ離れた場所を通りかかってまして、ヤフーニュースの号外でこの事故を知った際に現場に行こうかと思ったのですが、ニュースの経過を見ると犠牲者が発生していてまだ捜索中とのことだったので、さすがにそんなひっ迫した現場に野次馬根性ではいけないと思い断念。
道場周辺の上空で報道ヘリが5~6機旋回しているのだけを確認しました。
事故から一週間が経った昨日、マスコミも去って現場も落ち着いているだろうということで、自宅から比較的近いこともあり行ってみました。
現場近くの神戸市北区道場です。のどかな光景が広がる場所なのでよく撮影がてらに散歩している場所です。
ピントは飛び立つ鳥に合ってますが、その背後にあるのが工事中の新名神高速道路です。
写真の右側が西方向になり、事故現場はその方向になります。
Nexco西日本からの発注としては崩落した有馬川の上の部分だけでなく、有馬川から東のほうに延びている上の写真の高架の部分を含めた476mを1つの工事としているようです。(写真では見切れていますが左側(東側)は山に突き当たり、トンネル工事なので別発注になります)
前方が事故現場です。
落下した橋桁の東側部分です。
有馬川橋の平面図と縦断面図です。(Nexco西日本のHPより)
左側が西方向になります。
落下部分の縦断図の詳細です。(同じく左側が西方向)
西側が橋台(A2)、東側は橋脚(P11)となります。
※以下、設計図面に合わせてA2、P11で記述
写真は何れも北側からの撮影です。
手前の道路は旧176号線です。
P11側です。
昨日も県警による現場検証が行われているようでした。
「技術検討委員会」なるものも立ち上がったようですが、事故現場は現在も不安定な状態でなかなか立ち入りにくいようです。
上の写真は事故現場の北側にある平田橋からの撮影になります。
周辺道路は規制されていて、人影も交通整理人の数人と遠くに見える警察くらいで他は殆ど誰もいないので現場は静かです。
事故発生時は川を挟んだA1、P11の両側ともに犠牲者・けが人が発生したため、救急隊員は対応に戸惑ったといいます。
恐らく川の両側で携帯などで連絡をとりながら移動はこの平田橋を使って行き来していたことが想像されます。
A2側です。橋桁が落下した下道は国道176号線になります。
A2側の仮設物は大きく崩れています。
報道によると、事故が発生する前の調査にてA2の土台が川側に向かって18cmのずれがあることが判明。P2の門型クレーンも2cmの沈下があったらしいのですが、作業は続行されたといいます。
事故発生日の一週間後である4月30日に橋桁を橋台・橋脚に固定する工程で、その際は国道176号線を通行止めにする予定だったとのこと。
不明な沈下やずれが発覚しても詳しい検証をして工期を遅らせるのは相当難しい判断だったはずです。(結果、工事を止めるべきだったわけですが)
問題は落下した橋桁の解体・撤去作業です。
仮設物が崩れた現場は今も引き続き危険な状態で、どのようなやり方が適切か未だ決まっていないとのことです。
この周辺と大阪とを結ぶ主要道路は高速以外ではこの国道176号線(通称:イナロク)くらいでして、ゆえに普段は結構な交通量なのですが、現在は現場手前の交差点にて迂回させられているので、上の写真のような光景です。
沿道のコンビニなどは大打撃で、この状態が続くと店の経営が存続できないと悲鳴をあげている方もおられるようです。
迂回による周辺道路の渋滞も発生。
今回の橋桁設置の工法「送り出し工法」は有馬川と国道を跨ぐので通常のものよりは長めではあるものの「技術的に難しい工法ではない」(日本橋梁建設協会)とのこと。
A2の土台が強度不足だったのではとの見解の専門家もいるようですが、そうなってくると現場の施工管理に問題があったのではなく、仮設物を設計した横河ブリッジの設計段階にて問題があったことになります。
「今回のことを教訓にしてもらいたい」
犠牲になった37歳の方の父親は謝罪に訪れた横河ブリッジに対して最後にそう言ったそうです。
以前にも横河は同じ送り出し工法で犠牲者を出しているとのことですが、その時の教訓が生かせなかったのでしょうか。
少なく現時点で分かっていることは今回の事故は人災だということです。
県警による現場検証は早くてもGWいっぱいはかかる予定です。
(2016/04/29 17:21)