ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

JR北海道「限界鉄路」・つづく厳しい路線維持

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書店で偶々見かけた今月号の「鉄道ジャーナル」という雑誌では「北の限界鉄路」という特集をはじめJR北海道の現状について、あらゆる側面から特集していました。
こんな鉄道関係の雑誌を買うのは初めてなんですが、非常に硬派な内容でして、実際に記者が北海道の厳しい路線に足を運ぶなど、豊富な写真とともに60ページにも渡る記事でめちゃくちゃ興味深い内容でした。


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上はJR北海道のサイトのトップページです。
平成23年5月に発生させた石勝線列車脱線火災事故、軌道検査のデータ改ざんなどここ数年でJR北海道が起こした不祥事についてのお詫びがトップに掲げられています。
これら安全に直結する不祥事はあってはならんことではありますが、その背景にJR北海道のえげつない経営状態があり、気の毒な面もあります。

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上も同様にJR北海道による公開されている資料です。
拡大して見てもらえればわかりますが、相当厳しいことが一目瞭然で、実はJR北海道が抱えている北海道新幹線を含めた25路線全てが赤字路線です。

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上は新千歳空港と札幌を結ぶ「快速エアポート」です。
インバウンド効果もあってこの列車は需要が高いのですが、こういうのが走ってる札幌周辺の路線ですら赤字というのには驚きです。もちろん、この辺についてはJR北側に何かしらの問題点があるのは否めません。

しかし、「維持困難線区」の画像にあるように輸送密度が2000人未満という厳しい路線の営業キロがあまりに長く、札幌周辺を若干黒字化させたところで焼け石に水です。
この図における赤色の路線は輸送密度200人未満で廃止は免れません。

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新得駅です。
富良野新得間は客が少ないのみならず、山間部を走る路線のため保守点検が大変で現在も災害の影響で一部区間代替バスが走ってますが、近い内に廃止になるようです。

問題は200人以上2000人未満の黄色の路線です。
これらの路線がもし廃止となれば、道北や道東への鉄路が途絶えるということになります。観光にも大きな影響がでるでしょう。

北海道の路線のあちこちの鉄橋やトンネルは明治~大正時代に作られた古いものも多く、これらの構造物の修理や建て替えで今後も莫大な費用が必要です。
それのみならず、ここ最近は地震や台風などによる災害被害も甚大で、それらの修復費用なども更に追い打ちをかけております。

北海道新幹線新函館北斗駅まで繋がりましたが、貨物列車との併用である青函トンネルではスピードを160キロ以下に落とさねばならず、札幌につながっていない上に飛行機に比べて移動に時間を要するため需要も伸びておりません。
何れも鉄道ジャーナルに詳細が載っていましたが、この青函トンネルの維持費については既に開業から30年ということであちこちで傷みはじめ、相当な負担になっているそうです。

塩分を含む地下水は常時ポンプで排水し、湿度が90%という劣悪環境、そして在来線であるJR貨物も走るため、新幹線用の標準軌と在来専用レールを兼ねた「三線軌」に対応しているためにあらゆる構造物が複雑で費用と手間は増大。大きな設備更新は国側も3分の2を負担しているものの、日常的な検査や修繕は全てJR北海道側が負担になっております。
三線軌ゆえに通常の新幹線よりも保守点検に手間が掛かるにも関わらず、貨物列車が走るために保守点検の作業時間も他の新幹線より短く、湿度の高い劣悪な環境の中で作業員の効率が求められる状況とのこと。
2017年度は北海道新幹線だけで100億円近い赤字で、夢の超特急である新幹線がJR北海道を更に苦しめる状態になっています。

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札幌駅構内。
北海道唯一の大都市の駅にしてはえらい暗い印象を受けましたが、JR新宿駅も大概汚いのでその辺は気のせいというか、駅なんてどこもこんなもんと言えるかもしれません。

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旭川駅です。日本最北の有人高架駅です。

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駅の外には時間の関係で出れませんでしたが、構内は本当に美しくて明るく、結構新しいためか立派な駅でした。
もしかしたら、北海道唯一の立派な駅なのかも・・

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特急「ライラック」。

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これらの特急列車、先頭部分やドアの部分の塗装がされているのですが・・

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それ以外はステンレスのむき出しです。
費用削減のデザインでしょう。

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ただ、驚いたのはこの窓のドロドロというか曇り具合です。
車内から外の景色が見えにくく、車窓の写真撮影も厳しいレベルで、いつもピカピカの阪急電車を利用している私からすればちょっと経験がないレベルです。
さすがに特急車両に関してはこの窓ガラスはどうにかならんもんでしょうか。

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釧路駅の外観です。
道東最大の駅ですが、新大阪周辺にある古い雑居ビルのような雰囲気でした。

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厚岸(あっけし)駅。
花咲線(釧路~根室間)の途中駅では唯一の有人駅です。

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有人駅とはいえ、駅員がいるのは午前6時20分から午後3時10分まで。
朝は結構早くからおられるようですが、夕方になる前には無人駅になってしまうようです。

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美馬牛駅。
ガイジンも増えてきているのでそれに対応した案内表示やアナウンスも必要なんでしょうが、なかなかそこまで余裕がなさげな印象でした。


上記は64年当時の北海道の路線図です。
当時は4000キロほど営業していたらしいのですが、現在は2500キロほどに減っていて、更に今年以降もドンドン減っていこうとしております。
鉄道ジャーナルでも触れてましたが、当時は一部のバス区間を除いて網走から稚内までオホーツク海沿いを鉄路で移動できたんだそうです。

JR北海道は観光にも重点を置き始めて、景観の良い区間は徐行運転にしたり、スマホアプリを通じて観光案内を聞けたりするなどのサービスを開始しております。
釧網線花咲線もなんとかして残して欲しいものですが、やはり観光客頼みだけでは前途多難です。
鉄道は基本的に雪には強い移動手段であるはずで、もっと地元の方は鉄道を残す努力を知事を筆頭に(今の北海道知事は他人事)頑張ってほしい。
北海道はまず鉄路あっての今の開拓・発展があったことを忘れてはならんでしょう。

そして何より人命に直結する業務ゆえに厳しい環境のなかホンマ大変だと思いますが、JR北海道が今後好転することを願うばかりです。

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