ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

「あまちゃん」と東日本大震災

現在、BSプレミアムにて放送中の連続テレビ小説あまちゃん」の再放送もとうとうあと一ヶ月ほどになりました。

あまちゃんについては私の場合、3時間ほどの総集編を当時観たのみで本放送を観てなかったので、今回の再放送が初見みたいなもんです。
ですので、未だ全部を観たわけではないのですが、最終回を待たずしてこのあまちゃん」が今まで観た全てのドラマの中で一番おもろいということは既に確定済みです。

3年B組金八先生Ⅱ」や「独眼竜正宗」、「半沢直樹」などなど過去に観たドラマで素晴らしいものは色々ありましたが、それらを凌ぐものと言っていいでしょう。
まぁ毎回毎回これだけ笑わしてくれたりジ~~ンとさせられるドラマは過去に記憶がありませんわ。

東北・岩手から東京へ出てきたアキ(能年玲奈)は紆余曲折を経て映画の主演を勝ち取り、その映画の主題歌を歌うことになって、一時期アキが所属していたGMT5というアイドルグループと一緒にコンサートを開くことが決まります。

かつて一緒にアイドルを目指して東京へ行く予定だったにも関わらず、諸事情でいけなくなってしまった地元の親友ユイ(橋本愛)にそのコンサートを招待するアキちゃん。
ユイちゃんがついに憧れだった東京へ初めて行くために北三陸鉄道に乗ったところで昨日の土曜の回は終わったのですが、ドラマの中でのその日の暦はコンサートが行なわれる前日の2011年3月11日という設定になっていて、それを視聴者にテロップで強調します。

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3月11日の午前のところで土曜の回は終わるわけですが、本放送当時(2013年9月)は北三陸鉄道に乗ったユイちゃんはじめ、地元・袖ヶ浜の登場人物の誰かが亡くなるのではないかと、視聴者は不安な日曜日を過ごしていたらしく、なんとそのことが当時の日経のコラムにも触れられていたりするくらいの反響だったようです。

結局、ドラマでは誰も亡くなることはなく視聴者は安堵するわけですが、震災により舞台の街は大きく被害を受けます。
このドラマは泣かせるシーンも結構ありますが、基本的には「喜劇」なので、この震災の描写というのは非常に難しいところがあったと思うのですが、宮藤官九郎の脚本と演出家はそこを極端に視聴者を落ち込ませない程度に絶妙のバランスで乗り切っております。(総集編で観た限りですが)

本放送当時は震災からまだわずか2年半しか経っていないわけで、それを国民的な朝の連続テレビ小説で描くのはホンマ凄いことだと思います。

ドラマの核にある「地元に帰ろう」の精神、舞台である東北の震災のことを恐れずに描きつつ「喜劇」であることを貫き通すこのドラマは本当の傑作です。