ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

「鼻血」「大阪のガレキ」~『美味しんぼ』がデタラメ過ぎる件

ビックコミックスピリッツがバカ売れで、すぐにコンビニや書店から売り切れてしまってるようです。「炎上商法」だとしたら大成功です。

全くグルメとは程遠いワタシですが、漫画「美味しんぼ」は結構好きで偶に単行本を買ったりします。昔に日テレ系で放送されてたアニメもめちゃおもろい。
基本的にこの漫画は日本の伝統、日本料理のすばらしさなんかを積極的に取り上げたりして、非常に好感のもてる内容が多いものでした。

震災についてもそうです。
震災前から原作者はもちろん東北の食材や料理を取り上げていたので、震災後にそれらかつての取材先の実在の店や生産者の元へ再び訪れたりして、どのように復興に向けてがんばってるかなんかを描写しておりました。
ワタシは沿岸部にある仮設商店街で、美味しんぼに取り上げられた店がそれを誇らしげにのぼりに描いて掲げているのを実際に目にしました。
美味しんぼ」が復興を後押ししていることを実感した次第です。

・・が、この雁屋哲という原作者、最近まで知らなかったのですが左翼思想が強いようでだいぶバイアスがかかっているようです。
スピリッツはどこも売り切れで実際には未だワタシは読んでませんが、報道内容から今回の「福島の真実」ってのはあまりに酷い。

まず、鼻血の件です。
主人公が福島第一の取材に行ったあとに鼻血が出てくるという描写。
実在する元双葉町長というオッサンを登場させて、原発事故以降はそのオッサンを含め、そういう症状の福島の住民が多いという。

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この元町長・・・まぁ元町長ってだけで、放射線云々については我々同様、単なるクソシロウトでしょうし、そこらのオッサンが語るのと同じレベルと捉えるべきですが、町長や原作者はこの鼻血を放射線によるものといいたいみたいです。
つまりは放射線により「血液の病気」になったということを主張していることになります。
放射線により骨髄の細胞数が減って血が止まらなくなったということです。
これは大変な病気です。

まず個人的な見解を述べさせてもらいますが、原発の水素爆発直後、数日間に渡り膨大な量の放射性ヨウ素が拡散されており、これらを外で無防備に吸い込んだ場合に今後の健康に影響を与える可能性は否定できません。
(しかし、半減期は8日ほどなので、初めの数週間において対策・回避されていればヨウ素については影響がなくなります)

・・が、例えばそれ以降で福島の規制されていない地域で生活したり、現在の原発に取材に行ったりしたくらいでそんな大変な血液の病気になるものなのかということです。
一例でいいますと浪江町の震災直後~翌年の時期の調査で個人の年間積算線量概算平均値が0.91ミリシーベルト(mSv)となっています。
目安となる1mSvを切ってます。

では、骨髄の病気になる放射線量とはどれくらいが閾値かというと、一般的には500mSvと言われております。しかも短期間にこの量を浴びた場合の話です。

今の時期に原発に一回取材したくらいでこんな病気になるわけもありません。
その程度でなるなら原発内の作業など全くできる状態ではなく、全ての作業員を即刻撤退させねばならんでしょう。
震災直後にジャーナリストで最初に取材に行った青山繁晴氏はもちろん、そんな症状は一切ないと言っております。

原発事故によって多くの方が「関連死」していることは忘れてはなりませんが、しかし、放射線が直接の原因である死者は今のところ確認されていないことも忘れてはならない事実です。

放射線のせいで鼻血が出ているというならホンマ大変な病気なため、マンガの主人公の山岡さんも元町長さんも早々に病院に行って精密検査を受けないといけません。
多分、私の予想では鼻くそのほじりすぎが原因かと思われますが。



「大阪のガレキ処理」のくだりはひどすぎる内容で話にもならない。
ワタシ個人としては福島のガレキを処理したところで処理場の周辺住民に何ら影響はないと思っておりますが、大阪府が処理したのは福島のものではなく、岩手のガレキです。
現地でがれきの放射線量を大阪の職員が測ってましたが、大阪府庁内よりも低いほどで何ら問題のないレベルであることを確認しております。

にも関わらず、美味しんぼでは以下の様な発言内容があるという。
「大阪で、受け入れたガレキを処理する焼却場の近くに住む住民1000人ほどを対象に、お母さんたちが調査したところ、放射線だけの影響と断定はできませんが、眼や呼吸器系の症状が出ています。」
「鼻血、眼、のどや皮膚などに、不快な症状を訴える人が約800人もあったのです。」

左翼系の専門家の弁なのか何なのか知らんが、8割も不調を訴えてるそうですが、一体どこの住民がそんなことを言っているのか。
がれきを処理したのは大阪市環境局舞洲工場らしいのですが、市街地から離れた埋立地にあります。辺りは工場やらUSJやらで住宅など殆どない。

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所在地を海をまたいで北上すれば、すぐに尼崎でしてウチの実家なんかも意外に近い。
大阪市尼崎市でそんな症状を訴えてるアホが一体どこにいるのか。
「国の陰謀でそれら症状の訴えを抑えこまれてるかもしれない」と主張しているアホがネット上におったりしますが、おとなしい東北人ならまだしも、大阪や尼の人間がそんな症状が出て黙っているわけがない。
暴動が発生しますわww



ダウンタウンの松本が「監督が映画の神であるのと同様、漫画の神は原作者で周辺がとやかく言うな」みたいなことを「ワイドなショー」っていう関東ローカル(関西テレビはネットしていないw)で言ってたみたいですが、ピント外れの発言もいいところ。そりゃ視聴率も打ち切りレベルで低迷するはずですわw

この「美味しんぼ」って漫画は実在の人物を登場させたり、実際の時事ネタを丹念に描いたりしているわけで、単なるフィクションとは全く異なる。
美味しんぼ」というそれなりに有名で、しかもこれまで概ね真実を訴えてきた漫画の中で、今回のようなデタラメなことを好き勝手書いて突然放り込まれたら当然それを信じこむアホもいるわけで、不明確な現象や取材内容は己がどんな思想であろうが、公にするのを避けるのが当たり前の話です。
著作権が自分にあるからといってなんでも書いていいってものではない。

先日、若田さんがISS国際宇宙ステーション)から帰還されましたが、ISS内で浴びる放射線量は日当たり0.5~1mSvといいます。
これは我々が年間で浴びる量を1日で浴びてるわけで大変な量です。
ここまで浴びると体に影響はあるかもしれませんが、しかし宇宙飛行士という極端な例とはいえ、それだけの量を浴びることが許容されているということでもあります。

微々たる量の放射線なんかよりも、それに右往左往したり、慣れない土地に移ってストレスを抱え込んだりするほうがよっぽど体にとって悪く、ガンに直結する可能性もあることを改めて認識すべきかと。
チェルノブイリの調査でそれを証明するデータがあるという報道を私は耳にしている)

それにしても「美味しんぼ」にはガッカリです。
原作者の手によって作品は大きく汚されてしまいました。