ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

20ミリシーベルトという基準(2):その根拠とは

既にご存知と思いますし、先の記事でも触れましたが政府が「20ミリシーベルト(mSv)」を基準とする根拠はICRP(国際放射線防護委員会)を参考にしております。
 
因みにICRPとは各国の放射線関連のエキスパート約250人のネットワークで、どこかに本部とかがあるわけでもなく、政治的独立性を掲げている専門家集団です。
国際原子力機関IAEA)や世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)の基準もICRPの勧告がもとになっているようです。
 
 
日本では平時において、以下のような基準が法的に決まっています。
 
一般市民の被曝線量限度: 1mSv/年
放射線業務従事者の被曝線量限度: 50mSv/年、且つ5年で100mSv
 
上記もICRPを参考にしておりますが、今回の20mSvという値もICRPの以下の勧告に基づいています。
 


・「緊急時(原発事故など)」において、原発の周辺に住む人たちの被ばくが年間1mSv以下に抑えられない場合、多くても年間20mSvから100mSvの範囲にとどまるよう対策を講じるべき。
 
・事故が収束したあとの「復旧期」になり、住民がその土地に住み続ける場合、年間の被ばく量を多くても1mSvから20mSvまでにとどめるべき。
 
・長期的にはもともとの基準である年間1ミリシーベルト以下に抑える。

 
現在はまだ「緊急時」ゆえ、上記の20~100mSvの安全な値をとっての20mSvをとったという政府の見解です。
 
・・が、それは計画的避難区域の話であります。
よくわからんのが、学校の安全目安についもて20mSvということ。
これについては「復旧期」の上限値をとっているんだそうな。
なぜに復旧期の値なのかというと、「計画的避難区域などに指定される地域以外では、放射性物質の影響は一定程度に抑えられると判断したため」としている。
 
緊急時と復旧期、下限値と上限値・・と交錯しまくりでもう何が何やらわかりませんが、そもそも避難区域でない学校の安全基準が避難区域の境界値ってのがさっぱりわかりません。
 
この20mSvという値は外部被爆の値です。内部被爆についてはどうなのか。
現状のデータから内部被ばくの量を計算したところ、被ばく全体の3.5%から0.2%に留まったため空間線量に基づいて目安を示すことにした」との政府見解で、微々たるものなので無視したとのことです。
子どもと胎児については感受性が高く、生涯のリスクは大人と比べて3倍になるICRP)らしく、学校の安全目安についての値は親御さんたちに不信感を抱かせる事態になっているのはご存知のとおり。
 
年間20mSvという値ですが、これは時間当たりに換算すると3.8マイクロシーベルト(μSv)に相当します。
計算の根拠は下記になります。

 
1日を屋外で8時間、屋内で16時間(木造家屋で空間線量率の40%)の生活をすることを想定。
24時間365日で積算し、年間20ミリシーベルトに収まるよう算出されたものです。

 {3.8マイクロシーベルト×8時間(屋外)+3.8マイクロシーベルト×0.4×16時間(屋内(木造家屋))} ×365日 
 = 19972.8マイクロシーベルト ≒ 20ミリシーベルト/年

現在のご自分が住んでおられるとこの1時間あたりのマイクロシーベルトがわかっていれば、上記の計算式にて「3.8」のところをその値に置き換えれば、年間の被爆量がおおよそ把握できることになります。
 
 
なお、原発周辺の空間線量率(μSv/時)は以下のようになってます。
航空機からのモニタリングと車で道路を走りながら計る走行サーベイのデータを重ね合わせたものです。
緊急時避難準備区域においての主要な生活圏では基準値の3.8μSvを超えたところなく、殆どが1.9μSv以下だそうです。
 
イメージ 1
 
避難されていない地域では殆ど年間20ミリシーベルトを下回っているようですが、過去の被爆例やその他も諸々の放射線量とこの値を比較していきます。
 
(つづく)
 
(政府見解などについてはNHK「かぶん」ブログを参考にしています