ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

原発危機 ホットスポットはどこにあるのか

東北にボランティアに行く際に福島市をバスで通過しましたが、福島第一原発より50キロ以上離れたこの地域は、当然ながら殆ど避難することなく生活されております。街の風景はどこにでもある風景で特に変わったところは見受けられませんでした。
・・・が、あくまでパッと見たかんじがそうであるというだけです。
住んでいる方々の放射能に対する不安は深刻なものです。特にお子さんがおられる家庭は大変な状態です。
 
学校の校庭は表土を入れ替えたりすることで、1日2時間校庭にいても年間の被爆量が1ミリシーベルトを大きく下回る数値になった学校でも、未だ校庭で子供たちを遊ばせていないようです。この暑い時期に窓を閉め切ったまま校舎内で子供たちは遊んでいます。
先日NHKスペシャルで放送されたその学校では結局、先生たちが判断できず保護者にその判断を委ねることにしたようです。校庭だけではなく、通学路などにおいても高い放射線量を示す地域があったりするわけで、とてもじゃないですがシロウトの先生たちが判断できる許容範囲を超えております。
 
そもそも、年間数ミリシーベルト程度の低い被爆量によって人体がどの程度影響を受けるかなんてのは専門家でも意見がバラバラでよくわかっていないのが現状です。
 
 
現在問題になっているのは半減期が30年というセシウムがどのように拡散されたかということです。
NHKスペシャルの「原発危機 第二回」で詳しく報道されていたので紹介します。
 
まず、国が公表している福島第一原発から100キロ圏内の年間被爆量です。
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人体の年間許容範囲の基準である1ミリシーベルト以上となると非常に広大な地域となります。
また避難地域に特定されているのは年間20ミリシーベルト以上であり、この1~20ミリシーベルトの範囲内で暮らしておられる方々は150万人おられるそうです。
 
再度断っておきますが、低い放射線量を長期で被爆した場合の詳細はわかっておらず、当然ながら人体は放射能に対する修復機能や代謝などを行いますんで、1~20ミリシーベルトがいかほどのものかはわかりません。
阪大名誉教授である中村仁信氏という方にいたっては、「低レベルの放射線はむしろ身体に良く、ガンで死ぬ人も減る」とか言っているくらいです。別にこの人は単なる胡散臭い大学教授というわけでなく、ICRP(国際放射線防護委員会 ⇒放射線量の許容基準を決める一番の権威)の委員だったほどの人物です。似たような考えはICRPの中にもいると本人は語っております。
 
ですんで、人体に危険かどうかは兎も角として、現時点でとんでもない大勢の方々が基準値を超える放射線量を日々浴び続けているというのは紛れもない事実です。
 
上記のように国が把握しているのはあくまで100キロ圏内のみです。
それ以外はどうなっているのか??
 
 
原発から200キロ以上離れた世田谷区、そこに都が設置した放射線測定器があり、空気中の放射線量が時系列で記録され残っております。
それが下のデータ。3月15日のものです。
 
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午前9~11時前後を境に急激にセシウムの数値があがっております。これは通常では有り得ない数値なんだそうです。
セシウムは放射性プルームと呼ばれる雲みたいな状態で飛来するらしいんですが、それが東京上空を「横切った」ということになります。
「横切った」だけなので降り積もることなく、16日以降は計測できないレベルにまで下がっております。
 
ではその放射性プルームはどこにいったのか??
 
地域環境研究センターというところが原発から放出した放射線量と風向きのデータを元に、スーパーコンピューターでシミュレートさせた結果が以下です。
 
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3月15日未明はまだ1号機の放射能が拡散されているだけでした。
上記時間は太平洋側にプルームが流れていますが、午前6時台に2号機、4号機がたて続けに爆発、その頃になると風向きが変わり始め、それらを含めたプルームが南下しはじめます。
 
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朝の9時ごろ、プルームは静岡県に到達するまでに至り、東京や神奈川を含めた関東の広大な範囲を覆っております。世田谷の計測結果と合致します。
 
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その後、プルームは関東を北上していきます。
 
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この上の図と当時の降雨量を重ねたものが下の図です。
 
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栃木県北部の比較的放射線が高いところにまとまった雨が降っております。
オレンジ色のドットのところです。
 
このデータを元に、栃木県北部にホットスポットがあるとNHKは仮定、専門家とともにヘリに乗り込み、上空から最新鋭の機器で計測しました。
そのデータが以下。900平方キロが調査範囲です。
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栃木の北部において年間5ミリシーベルト以上、つまり福島市とほぼ同じくらいの値をしめすホットスポットが点在していることが明らかになりました。
ホットスポットは直径数百メートルほどの大きさです。
 
この後、地上からも専門家とともに計測。
畑などが多い地域のようですが、その土壌や農作物において、出荷できるかどうか微妙なくらいの数値が計測されたようです。
 
たとえば関東北部の方々が最初に紹介した福島市の方々みたいに放射能に対して用心しているかというと、殆ど無防備な部分が多いかと思われます。実際NHKサイドが地元の方に結果を報告すると「心臓がバクバクする」と、とある女性が驚愕されておりました。
 
この栃木北部だけとは限らないかもしれません。
ホットスポットの地域を国は早急に把握する必要性があります。