ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

南相馬で業務する大阪の測量士

正月、年賀状をチェックしていたら、いつも送ってきてるある知人の年賀状がないことに気づいた。
去年、体調を崩し長期の入院もしてたので、ちょっと気になってたところ、その知人から先日電話がありました。

年賀状を送れなかった詫びの電話やったんですが、その理由が現在、福島に住んでいるからだという。
測量士である彼は大阪に測量の仕事がないので、結局は人手不足の東北被災地にて業務を行なっているとのこと。

小泉政権以降、公共事業は劇的に減り、土木業界にて働く人間は苦境に陥りまして、土木関連の設計士・測量士や現場の作業員含め、大幅に人が減りました。
確か数割単位で減っているはずです。
莫大な借金を抱え、今後人口が大幅に減っていく日本において、新しい道路やダムをドンドン作るのはおかしな話で、この業界が縮小していくのは残念ながら仕方のないことです。

ところが、広範囲が津波で被災した東北では大勢の土木技術者を必要としてるため、仕事がない関西のほうからも東北の方へ派遣されていってるようです。
例えば、ある神戸の土木関連会社は、神戸に本社を構えて東北の支社で入札とかしても仕事が取りにくいという現状から、本社を東北の方へ移したと聞いてます。

さて、その知人ですが、彼は独り身ではありますが大阪に持ち家があります。しかし、東北で業務をしている今、会社で用意された福島の集合住宅で生活しているそうです。
彼の趣味は音楽や映画の鑑賞でして、とんでもない高価なAV機器をいくつもあるラックに収めてたりしているのですが、そんな一式を狭い今の集合住宅に持っていけるはずもなく、せいぜいPCで音楽を聴くくらいしかできません。
「慣れたらどうってことない」と彼はいうものの、せっかくのAV機器がホコリをかぶったまた放置されているのは勿体無い話です。
自宅のローンも抱えており、広い持ち家を空き家にしたまま、いつ大阪に帰れるか分からんまま、一人福島で生活するのはなんともキツイ話です。

彼は今、南相馬にて業務を行なっているそうです。
海岸部は今も延々と更地が広がっており、復興はまだまだと語っておりました。
多分、私が見た二年前の風景と変わっていないのでしょう。

元々寒がりだった彼は去年の病で体力も衰えているでしょうし、寒い東北での測量作業は過酷と思われます。
こうなってくると余暇を楽しむというのが殆どできないわけで、慣れない土地にてただ生きていくためだけに働くという生活は、なんともやりきれない感じがします。
しかし、そういう立場の人は日本でも全国大勢おられると思います。
つくづく、生きていくのは大変だと痛感させられます。

さて、全国の土木関連業者が東北に集まりつつあった昨今ですが、去年の暮れから様相が変わってきております。
東京オリンピック」特需です。
東京がこれで沸いており、またも人手不足が発生しております。
そこで単価もあがってきており、下手をすると東北での土木作業よりも1.8倍くらいの単価を提示する業務が東京にはあるといいます。

東京へ人間が流れだすと、またも東北の復興も遅れるやもしれません。
震災の復興にしてもオリンピック特需にしても、まぁせいぜい10年で区切りはつくわけで、そのために折角減った土木業界の就業人口をまた増やすのも難しい話です。

とりあえず、生活がかかっている東北の方を優先してもらいたいもんです。

イメージ 1
2年前撮影した南相馬の海岸付近。今も似たような光景のままなんでしょうか。