ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

細る日本経済と逼迫する土木業界の現状

昨晩、めったに鳴らん固定電話が鳴った。
私は公共事業関連の仕事をしていたことがあるんですが、その職をしてた時の同僚でした。
 
私よりも幾つか年上の彼は去年、大病を患い手術をするなどして長期の入院をしました。その関係で当時関わっていた職は辞めざるをえなかったらしい。現在は退院して大分元気なようであるものの、このご時世なので職を見つけるのは難しい。
彼は測量の技術があり、それを活かしてとりあえず現在はバイトをしているとのこと。
 
私が住んでる北摂のほうは新名神高速の工事が急ピッチで進んでおります。彼が主に行っている現場も新名神関連が多いらしい。私がこのブログで時々アップしている福知山線廃線跡がある武田尾。あの山間にも新名神の工事が行われております。
何もないひっそりとした山の谷間にどでかい橋脚が建造されていくその様はなかなかインパクトのある光景なのですが、そういう現場で朝の8時から仕事をしているわけで、殆ど陽も当たらんような寒い現場は病み上がりで体も細くなった身にはさぞかしキツイだろうと思います。
 
その現場では私とその知人の共通の知り合いの人間も時々見かけるとのこと。「奇遇なこともあるもんですなぁ!」と私は電話で言ったのだが、よくよく考えてみると業界の仕事自体が限られているため、大阪近辺の土木事業関係者は新名神に集中してしまっているんでしょう。奇遇でもなんでもないのかもしれません。
 
新名神の仕事も大変でしょうが、彼に言わせるとこれはまだマシな仕事なんだそう。
彼は先日、新宮に行ったという。
新宮ってどこか分かりますか??私が先日、墓参りに行った時に記事にした熊野市の隣の市ですわ。
そこに日帰りで現場に行ってきたという。
 
吉野から入って大台ケ原の近くを通るという峠越えのルートもありますが、これはちょっと過酷なので、名神から伊勢自動車道を通るルートで新宮に入ったらしい。
 
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このルート、およそ300km。伊勢までは高速がありますが、あとはずっと国道を走ります。
朝の4時半に大阪の会社を出て、約4時間かけて現場に行ったんだそうな。途中バッテリーがイカれるトラブルもあったという。
帰り道はとある事情で今度は本州最南端の串本、紀伊田辺を通る紀伊半島をグルリと廻って大阪に帰ってくるルートだったらしい。上の地図にもあるように、紀伊田辺までは高速はなく、またもそこまで海岸線沿いの国道ですわ。結局この日は紀伊半島を一周したような感じになります。
 
これだけの距離、単なるドライブでも過酷なのに体を使う現場作業を挟んでの往復8時間の移動・・・作業員交代で運転するとはいえ、あまりに危険過ぎです。事故が起こっても全然おかしくない。
こんな遠い現場で日帰りとか有り得ん話で、それだけこの業界の単価が下がってることを物語っています。
 
日当扱いでバイト代をもらってる知人はこれだけ過酷な移動を伴った現場でも普段の日当と同じ額らしい。
雇用保険はついてるらしいが、厚生年金やら健康保険やらはバイトの身ゆえなし。未だに彼は通院はしているので国民健康保険は必須で、その負担も大きいことでしょう。
 
無駄な公共事業は徹底的にカットすべきとは思いますが、こういうリアルな話を聞くと、なかなか一刀両断するのも容易くないようにも思えます。