ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

石巻市:化粧品店「小野友」は今

「小野友」ってのは一年前に市街地の商店街でボランティアしてたときに偶々交流があった化粧品店です。
 
我々は兵庫県内の社協を通じて石巻にボランティアに来てたんですが、その作業内容が商店街のがれきや廃棄物をそれぞれの種別に仕分けして、回収に来たトラックに積み込むというもの。
・・がそのトラックがあまり頻繁に来ず、結構ヒマしてたところに声をかけてきてくださったのが商店街に店舗を構えておられた「小野友」という店の女性店長さんやったんです。
 
ご年配の方だったんですが、さすが化粧品店を経営されてるだけあって、スッピンでもお綺麗ですし、まぁなんというか物腰に気品のある方でした。
 
その店内は浸水で大変な状態でした。
 
 
大体想像がつくと思いますが、水害の遭ったところというのは街中が泥だらけです。それが乾くと、砂になるわけですが、この当時、市街地一帯はえらい強風が延々と吹いてまして、それが乾いた砂を巻き上げて目も開けれない状態でした。
店長さんはその強風と防犯のためにも店のシャッターを閉じたいわけですが、シャッターが壊れてどうにも下ろせない状態なので手伝ってほしいという依頼でした。
 
我々はまず店の正面一面に張られていたであろう強化ガラスが割れて危ない状態になってたので、それらをすべて叩き割って取り除き、シャッターを下ろせるように試行錯誤したものの、これがどうにもうまくいかない。
よくよく俯瞰的に店のようすを見てみると、店全体が完全に歪んだ状態になってしまってて物理的にシャッターを下ろすことが不可能であることが発覚。
結局はブルーシートで通りに面した部分を全面覆うしかなかったのでした。
 
この店は戦前から代々受け継がれた老舗のようでして、店長さんの心中もさぞ落胆されてたでしょうが、我々と会話してるときも時折笑みを浮かべて、悲痛に暮れることなく気丈にされてました。それこそよく言われる言い回しですが、ボランティアしてるコチラ側が元気をもらうような感じでした。
 
当時店長さんとの会話で記憶しているのが、震災後にはじめて会う知人とは、当然お互いの無事を喜んで手を取り合うわけですが、その後にその知人のご家族の安否を聞くのが非常に怖いとおっしゃっていました。
 
 
それから一年経った今回、この店のようすを伺おうと、商店街の中をウロウロするもどうも見つからない。
大体の位置はわかってるつもりなんですがそれが分からず、たまたまiPhoneに当時の店の周辺を撮った写真があったので、それを頼りに改めてその場に行ってみると・・
 
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上のように更地になってました。何度も写真と比較しましたが、間違いなくこの更地の場所でした。
 
やはり店全体が歪んでたので修築は無理だったのでしょう。隣の店は営業されてるようですが、ちょっとしたことで命運は分かれてしまいます。
仮設商店街にも「小野友」の名前はなく、閉店してしまったのかと寂しい気分になりました。
 
 
この日は石巻に来て一番はじめにこのことを確認してから、あちこちを歩きはじめたんですが、4時間ほどしてまた塩釜の宿に戻るために石巻駅へ。
電車まで多少時間があったので駅の周辺をぼ~~っとしてると、えらいものを偶然発見しました!!
 
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市役所の施設内になんと「小野友」の看板が!!
店内を確認すると、化粧をしてお綺麗な店長さんも!
店は広くてキレイで立派な店舗に移転されておりました!!
 
声をおかけしようか迷いましたが、先方もなんのことやらようわからんかもしらんので、電車の時間も差し迫ってることもあり、そのままおとなしく退散しました。
 
後にネットでこの小野友さんを調べてみると、なんと地元の東北放送のラジオ番組のサイトで、この移転した後の小野友さんで番組の公開収録をしている様子がありました!
 
平日の昼に10分ほどやってた番組のようで、なんと資生堂提供!(それゆえに小野友さんが選ばれたんでしょう!)
その週の平日5回に渡って小野友さんが取り上げられてたようです。
ポッドキャストでその番組が聞けまして、店長さんのお元気なようすも改めて耳で確認できました。
小野友は復興に向かう石巻の象徴のひとつといえるかもしれませんな!
 
石巻のまだまだ大変な状態をわずかながら4時間ほど見てきたわけですが、ホンマに最後、いいニュースを見つけて石巻を後にすることができました。
 
 
 
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