ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

[オーバーツアーズ問題]不満が募る京都市民

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上は去年の紅葉の時期の嵐山です。
京都が観光客でごった返していることはよく報道されますが、その報道を耳にするとうちのオカンなんかは「それで京都の人は潤ってるんやからええやん。オバちゃん(下京区に住む私の叔母)なんかそれやから、バスも地下鉄もタダなんやろ」とか抜かしてますが、これはあまりに短絡的すぎです。
京都市民の70歳以上の高齢者は市バス・地下鉄が基本的に無料


上は京都市の市税収入の推移です。
ここ5~6年は右肩上がりではありますが、京都市長は「10年単位でみると『横ばい』であり、さほど観光で潤ってるわけではない」旨を各マスコミに語っています。理由は観光客が増えてもホテルなどの非正規の雇用が伸びるだけで市民の収入は増えない、ホテルなどの収入は伸びても法人税で国に取られるだけで市にあまり還元されないというのが市長の認識です。

逆に激増するガイジンに対応するために、案内板を多言語化対応したりで市の出費が多いようです。
他にこんなニュースも。


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2013/04/05@二条城

ガイジンから「砂利道は歩きにくい」とのクレームがきてるそうです。
この砂利道が風情があってええんでしょうが!!w

市側のいろんな対応も大変でしょうが、本当に大変なのはやはり京都市民です。
もともと京都は慢性的にホテルが足らんかったので、今は外資系なんかのドデカイのも含めホテルの建設ラッシュとなってますが、問題は小さいビジネスホテルや民泊みたいな類です。
なんせ普通の民家があつまる町内に突然現れる宿がいかに多いことか。

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上のホテルはまだ表玄関は大通りに面しているものの、裏口側は普通の路地に面しているので塀のすぐとなりはふつうの民家です。
このホテルはまだ大きいほうですが、民家と民家の間に小さいビジネスホテルみたいなのがあちこちの街で立ち始めています。

出入りしているのはスーツケースを引きずるガイジンばかりで、夜なんかに集団で玄関前で騒がれたりして困ることもあるかもしれません。
自分が住んでる閑静な住宅街に変な宿が突然できてガイジンがうろちょろしだしたらさぞや不安でしょう。

そして、交通です。
京都市内は鉄道が発達しておらず、地下鉄を利用しての移動というのが限られています。
観光シーズンなんてのは祇園を中心に車が全く動かないのでタクシーも使えず、やはり市バスに頼ることになります。

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スーツケースを持ったガイジンが多いのでバスは日常的に混雑しております。
私も近場からとはいえ「観光客」として利用する立場なので文句言えませんが、生活の移動手段として利用している市民からしたらホンマうんざりする状況でしょう。

バスをこれ以上増やすといっても人手不足や道路事情からして限度があります。
そもそも市バスの一部区間の運行を受託していた京阪バスなどが運行を縮小したのを受け、市の直轄に切り替えた影響で京都市バスは11年ぶりに赤字に転落しております。
京阪バスは20年度に完全に撤退するそうで、更に収支は今後悪化するでしょう。
バスの一日乗車券を昨年500円⇒600円にしましたが、近日中にまた値上げをすることは避けられそうにありません。

70年代後半・・つまり、結構つい最近まで京都市内を縦横無尽に走ってた市電を廃止したことがホント悔やまれます。これがあればどれだけ京都市内の観光が楽だったことか。

「オーバーツーリズム問題」といえば、最近ではイタリアのベネチアでしょう。
増えすぎた観光客に地元住民たちがブチギレて押し寄せる観光客が乗る大型豪華客船の周辺をボートで取り囲み「ベネチアに来るな」とデモを展開するまでになっております。

「はんなり」の京都人はそこまでなかなかブチギレないでしょうが、一部の市民のあいだで不安と不満を現在募らせているのは間違いありません。
政府はまだまだガイジン観光客を増やす計画をブチ上げてますが、観光都市に住む地域住民を犠牲にしてまで増やす必要もないわけで、自治体と協力して何かしらの対策が必要です。

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2019/02/02@祇園