ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

写真家たちの日本紀行~未来に残したい風景

民間の無料のBS放送ってのは実はその放送の半分近くが「通販番組」ってのが先日どっかの調査で判明しまして、何のための放送権なんだってので問題になってます。
まぁそういうわけで、BSで毎週見るような番組は殆どないと思いますが、ワタクシ、「水曜どうでしょう」の再放送と並んで、唯一毎週観てるのがBSジャパン「写真家たちの日本紀行~未来に残したい風景」です。
 
キャノン一社提供の番組で、プロのカメラマンを毎週一人取り上げて、その人がCANON EOS 5D MarkIII(もしくはII)を片手に日本の風景や人物を撮るという番組。
これを見ることで撮影のテクニックが学べるとかそんなんはないのですが、プロカメラマンの撮影風景をテレビカメラが背後から追うことで、「写真撮影に対する姿勢や考え方」が学べて非常に興味深いです。もちろん、写真家たちそれぞれのスタイルがあってそれが面白く、目からウロコの場面もあります。
日本の様々な風景も見れるので、写真撮影に興味のない方も楽しめるし、結構感動できる番組だと思います。
 
先週の放送は石川直樹という若いカメラマン。
77年生まれで、北極から南極まで人力踏破、七大最高峰登頂などをしてその風景を写真に収めてるようですが、祭り事や神事について造詣が深いらしく、各国を旅しながら撮影しているようです。
 
その彼が今回、最初の撮影地に選んだのが沖縄県池間島
島では神事などが多く、その神に捧げる祈りの風景を撮ることを主な目的で島を訪れる。
 
彼の撮影スタイルは興味深い。
とある日の早朝、司(つかさ)と呼ばれる神事を行う女性の神職者5人が神に祈りを捧げる神事「ニガイ」を行う風景を特別に許可を得て撮影するわけですが、離れた背後から三脚を立てて、撮影中も殆ど動かない。
「そんななんかいろんな角度から撮ろうなんていう欲はあまり出さずに、偶々自分がいた場所で偶々撮ればいいっていう。だってそこに神様がいるわけですから。見えないものに向かって祈ってる風景がある中で自分があちこち動いたってしょうがないし」
 
神事だからってだけでなく、例えばその島で行われているハーリーという手漕ぎボートのレースの撮影でもそのスタイルを通す。観客に紛れて座ったり、観客の背後でカメラを偶に構えたりするだけ。
 
イメージ 1
 
「僕のスタンスは郷に入っては郷に従えですから。あまり目立たずでしゃばらず。
前に出ていくってのは自分の主観で切り取っていくということで、自分が意図したとおりに撮れたら面白くないというか、そんな写真を見たくないし。やっぱり自分の意図したものを超えた何かが写り込まないと意味が無いと思ってるんで」と語る。
 
京都をはじめとしたあちこちの撮影スポットでギャーギャー喚きながら(ヘタしたら何様のつもりか観光客を仕切りながら)、ドッカと前に出てくるドシロウトのおっさんカメラマンたちに聞かせてやりたい言葉ですな。
 
イメージ 2
レースそのものではなく、観客に目を向ける。
 
番組の最後に彼は語ります。
 
「偶然というものを人間は受けいれられるか受けいられないかで全然違う人生になっていくんですけど、やっぱりいろんな出会いとか偶然を全て受け入れていく、いろんなものを引き受けていくっていうのはすごく大切なことで。
やっぱり自分から主観的に選び取ったり切り取ったりするんではなくて、向こうから飛んでくるものを受け止めるというのは写真もおんなじなんですけど、くじ引きみたいなもんなんですよ」
 
島において「司」という神事の役目をくじ引きにより引き受けて真っ当する女性たちに共感して、自分の撮影スタイルと重ねあわせておりました。
 
番組では最後に写真家が自分が番組内で撮った中での「一枚」を選ぶのですが、それが今回はコチラのHP↓
 
 
今日の放送はその石川氏が次に向かった沖縄の南大東島での撮影風景です。
 
イメージ 3