ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

被災地の薪・大文字保存会の謝罪

誰にでも過ちはある。
・・が、大文字保存会のこの一連の騒動に対する決断力の欠如は京都のイメージを大きく傷つけた。
 
「たかが一地方の宗教くさい行事」と言ってしまえばそれまでだが、その行事は古よりあまりにも有名なものであり、京都のビッグイベントのひとつであるのは間違いない。
その「五山送り火」の代表格である大文字を担うわずか50人足らずの保存会のメンバーはその影響力についてどれだけの自覚があったのか甚だ疑わしい。
当たり前の話、50人がこのドデカイ行事を自分らで考え,始めたわけでもなんでもなく、数百年もの間、京の人々によって受け継がれた大事な行事を今日たまたま担っているだけに過ぎず、その大事な行事を安直な判断で傷つけた罪は軽くない。
 
五山の送り火は「大文字」「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居形」の五山からなるが、結局は他の四山に説得される形で大文字がしぶしぶ被災地の薪を使うことに同意した。
 
保存会の松原公太郎理事長は11日夕、記者会見し、「被災者や市民の方々に、迷惑をかけておわびします」と謝罪。「震災犠牲者への慰霊の気持ちを込めて送り火を行いたい」と話した。
 
陸前高田市の松を薪として使うというアイデアを快く受けた大文字保存会だったが、そのすばらしいアイデアと行動力から一転、それに大いに反する行為を行ったため、あまりにもイメージが悪すぎる。
また、この五山の保存会を束ねているのは実は「京都市」であり、京都市長は当初から薪を使うのをやめることについて否定的だったらしいが、結局は独断で大文字保存会が使用中止の決定を下してしまった経緯があった。市長はそれを悔いているが、市のイメージを考えるとこのヘタレ丸出しの保存会の決断を是が非でも食い止めるべきだった。
 
被災者の思いがこめられた薪を使って大文字焼きを行うというこの「送り火」の趣旨にふさわしい案―――大げさかもしれんが、保存会は放射能に対するくだらん批判なんかに屈せず、一度引き受けたからにはこの案を命懸けくらいのつもりで貫いてもらいたかった。それだけの価値があったかどうかは別として、被災者に思いを書かせた時点でそれだけの覚悟が必要になってくる。
 
そもそも放射能についてどれだけの批判や嫌がらせが保存会にあったのか??
そもそも保存会のメンバーやその家族内自身にネガティブな意見や考えがあったのではなかったのか??
・・・と勘ぐりたくもなる。
 
紆余曲折はあったものの、とりあえず五山ともに被災地の薪を使うことになったのは良かったが、当初において大文字に活かされる予定だった約300本の薪・・・例えば、
「姉ちゃんの料理おいしかったよ」
「会いたい、会いたい」
など被災者の方々が思いを込めて書かれたものは既に地元の陸前高田市で「迎え火」として燃やされており、もう送り火とすることはできない。
 
(追記)
今朝の朝日新聞に掲載された今回の騒動について瀬戸内寂聴の意見を添付しておきたい。
 


 今回のことは京都の恥です。送り火は亡くなった人の魂を慰めるもの。ましてや今回は東日本大震災という大惨事で亡くなった人の魂に対してです。私は怒っています。恥ずかしいです。悔しいです。岩手の方が怒るのも当然です。

 被災地の惨状を見ているから余計に怒りを感じます。改めて別の薪を燃やすそうですが、まずは最初の計画が中止になった詳しい経緯を明らかにするべきです。大文字保存会の代表はもう一度、現地に謝りに行くべき。私が市長だったら一緒に謝りに行きます。

 ただ今回、おとなしい京都の人たちが中止に抗議の声を上げたことは頼もしい。原発の問題もそうですが、嫌なことは嫌と口に出せば力になるという自信を人々が持ち始めたということ。それが唯一、いいことでした。
 

 
寂聴さんがおっしゃるように、今回の一部の京都人の失態が今後プラスに活かされることを京都を愛するものとして切に願う。