原発危機 事態が深刻化した経緯(4) 震災3日目~5日目
2011年3月13日
2時42分 3号機のHPCI(高圧注入系)停止
RCIC停止後、約14時間起動していたHPCIもついに停止。バッテリー切れによるものか。
つまり、3号機においても冷却機能が完全に停止する
8時41分 3号機のベント開始
9時24分 3号機の格納容器の圧力が減圧されたことを確認
9時25分 3号機において消防車による代替注水を開始
電源復旧作業を実施するが、度々の余震や劣悪な作業環境により思うように作業が進まず
11時頃 官邸に外部の識者が次々と呼ばれる
官邸5階総理応接室での会話
菅: 3号機はこれからどうなるんだ
原子力プラントメーカー社長: 3号機の建屋も爆発すると思います
政府側: なんとか水素は抜けないのか
プラントメーカー幹部: 建屋に穴を開けようとしても火花が散って引火する恐れが
あります。無理です
福島第一にいた東電の協力会社幹部: シミュレーションで「(核燃料の)損傷まで2時間」と
発表されていた。そういうデータは常に出ている
13時12分 3号機において海水注入を開始
各所に消防車の応援要請を継続して行っていたが、構内の放射線量、汚染の問題や
水源として、4号機タービン建屋の地下にたまった(津波による)海水を利用するため、
タービン建屋大物搬入口のシャッターを破壊して消防車を入れて取水を試みるが、
引くことができず
2011年3月14日
午前7時頃 3号機原子炉の冷却を支援するよう自衛隊に要請
但し、その時の現地対策のミーティングにおいて、水素爆発の危険性については
東電及び政府側から自衛隊に対して一切説明がなかった
10時15分 2号機のベントを実施するよう吉田所長指示
11時前 自衛隊員の車両が3号機付近に到着
3号機から5mの位置にて停車
11時01分 3号機水素爆発
陸上自衛隊中央特殊武器防護隊隊長 岩熊真司: 降りようとした瞬間に爆風を受けた。
目の前が灰色になり、次の瞬間には瓦礫が上から落ちてきた
洗い流すため8回も除染をしなければならなかった
3号機の爆発により準備完了状態だった2号機の注水ラインは、消防車及びホースが破損して
使用不可能に。また、ベント作業は圧力抑制プールのベント弁につながる回路が外れ、弁が閉まってしまう。
当直員を除く作業員は、免震重要棟に退避
16時頃 2号機において原子炉の圧力を下げるため、車両からバッテリーを
集めて中央制御室に運び電源ケーブルを繋ぐも、バッテリーの
電圧が不足
バッテリーを追加して複数の逃がし安全弁の動作を試みる
16時20分 2号機の圧力抑制プールベント弁を開く操作をしたが、
コンプレッサーからの空気が十分でなく操作できず
16時30分頃 3号機において消防車による海水注入を再開
18時過ぎ 2号機のベントがうまくいかないことにより、圧力が高まり核燃料が
露出するまで約1時間というシミュレートが現場で弾き出された
結果を受けて、それまで大声で指示をしていた吉田所長が黙りこんでしまうほどの衝撃だった
この夜、吉田所長は廊下で休んでいた作業員たちに近づき以下のように語りかけたという
吉田所長: 皆さん今までいろいろありがとう。努力したけど、状況はあまりよくない。
皆さんがここから出るのは止めません
この日、社員ら70人あまりを残し、200人以上の作業員が第一原発を後にした
2号機がこれまでにない危機的状況であることは東電本店にも報告された。
これを受けた清水正孝社長は5回にわたり「第一より撤退したい」と政府に電話で伝えたという
但し、NHKの取材による官邸側のこの証言に対して東電側は真っ向否定。
(重要免震棟の)緊急時対策室から誰もいなくなるという意味の「撤退」ということは一度も
言ったことがないと本店常務の小森氏はNHKに反論している
19時20分 2号機において海水を注入するための消防車が燃料切れで停止
19時54分 2号機の原子炉内へ消防車による海水注入開始
21時頃 2号機の圧力抑制プールベント弁を開く操作
21時20分 2号機の逃がし安全弁を二つ開き、原子炉水位の回復を確認
22時頃 この頃に3号機の圧力容器がメルトダウンにより破損
6/6に保安院が発表
23時頃 この頃に2号機の圧力容器がメルトダウンにより破損
6/6に保安院が発表
2011年3月15日
0時02分 2号機の格納容器ベント弁を開く操作
5時35分 東電との意思疎通がうまくいかないことに苛立った菅総理が
自ら東電本店に乗り込む
東電に向かう菅総理
菅総理: お前らふざけるな!!このまま放置したらどんな事態になるかわかってるはずだ!
撤退は許されない。60歳以上の人間は現場に行って自分たちでやる覚悟を持て!!
官邸は東電本店に統合対策本部を設置。政治家と関係機関を常駐させ、情報の共有を図ろうとした。
事故から5日が経過していた
この日の午前6時台に4号機と2号機が立て続けに爆発した
※2号機については爆発というより建屋内で大きな振動があり、格納容器内の圧力がゼロへ。この時に格納容器が損傷したと思われるが、現場に近づける状態ではなく何がどうなったのか未だに判明されていない。
東電常務 小森: 言葉の部分としては議論しても水掛け論になるかもしれないが、
災害が来たときにどうだというような話についてはメッセージは伝えていなかった。
自分らの見えている範囲だけ伝えていたというのをもし「安全神話」というのならそういうことかもしれない
原子力安全委員会委員長 班目: 3月11日以降のことが全部取り消せるのなら私は何を捨てても
構わない。3月11日以降のことを全部なしにしていただきたい。もう本当に3月11日以降のことが
なければなぁと。それに尽きます
経産大臣 海江田: これ(原発事故)が安定してしっかりとした検証が行われる中で責任は
とらなければならないと思っている。もちろん私もその責任を免れるものではない。
現在も福島第一原発において約2000人が作業を行っている
おわり
※現在も小出しで情報がコロコロと変わりつつあるため、その都度気づいたら記事には修正をかける予定です。
誤記や間違った点がある場合はご指摘ください。