ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

[The Beatles - Abbey Road]”Sun King - Take 20" そのデモ版のクォリティ

Abbey Road」のリマスター盤がリリースされたのが2009年、当時まだ大してビートルズが好きでも嫌いでもなかった私がアビー・ロードを初めて聴いたのはこのリマスター盤を購入して以降でして、つまりアビー・ロードがリリースされて50年の歴史のなかで私がこのアルバムに接したのは10年に満たないわずかな期間です。

とはいえ、ここ数年それなりに繰り返し聴いてたアルバムだったのですが、昨年秋の50周年のデラックス版がリリースされて度肝を抜かれた曲がありました。

 

それがジョン・レノンの手による「Sun King」です。

アビー・ロードの後半(LP盤でいうところのB面)はメドレーが主体となっていまして、この曲もその一部です。「ビートルズに対して完全に興味を失ってたジョンの手抜きの曲」ってなくらいしか認識なかったんですが、とんでもない勘違いでした。

 

50周年として新たにMixされた「Sun King」がYouTubeで勝手に流れ始めたときにその衝撃が訪れました。

わずか2分ちょっとの曲の長さでありながら70年代に活躍する全盛期のピンク・フロイドを彷彿とさせるプログレッシヴ・ロックの傑作じゃありませんか!!

まずはこのMixバージョンを貼り付けます。

 


Sun King (2019 Mix)

 

これが50年前の曲とはホンマ今更ながら信じられませんわ。

「Remaster」と「Mix(Remix)」の違いは洋楽をあまり聴かない人はわからないかもしれません。私が聴くような古い60年代70年代の洋楽はこの手のリマスターやリミックス盤がやたら定期的にリリースされましてその度にCDを購入したりしてえらい目にあうわけですが、リマスターとはその名のとおり、世の中にリリースされた最終的なマスターテープの音を新たな技術でノイズを消したり聴こえづらい音を起こしたりして音質を高めたもの。アーティスト側のオリジナリティは損なわれていません。

しかし、特に60~70年代のスタジオとかは4トラックとか8トラックとかのシステムでして、ダビングを重ねるためにどうしても音が甘く、リマスターで音質を上げるには限界があります。

 

しかし、ビートルズなんかの大物バンドはマスターテープのみならず、ヴォーカル、ギター、ドラム、ベース、オーケストラなどなど各トラック毎のテープが殆ど・・というか全て残っているようでして、これら各トラックを再び重ね合わせて新たにミックスしたものが「Remix盤」です。

アビー・ロードの50周年ではこのリミックス盤がリリースされました。

しかし当然ながらマスターテープとは違い、音のバランスが異なり、原本とある意味別物になるので批判を受けがちでして、このアビー・ロードのMix盤もアマゾンなんかでは批判コメントが多いです。

(一応、オリジナルのアビー・ロードをプロデュースしたジョージ・マーティンの息子がリミックスしているものの、単に血縁関係というだけで説得力は乏しい)

 

・・が、私はこのYouTubeで聴いた「Sun king」はそんな違和感など吹き飛ばすものがありました。やはりひとつひとつの音が際立っているので前半イントロの秋の虫のような音が右から左へ移動するのがよく聞こえますし、出だしのジョージ・ハリスンの重低音のギターは私の古ぼけたSony VaioのデスクトップPCの画面が揺さぶるほどです。(液晶画面下にスピーカーが付いているため)

このベースをやたら強調させるミックスのやり方に批判が多いですが、「Sun King」にもそれが当てはまるんでしょうか??

私はそうは思わない。

 

そしてデラックス版で同時にリリースされた「Sun King」のデモ版です。

このTake 20と言われるデモ版、”デモ”の領域を超越しているクォリティです。

 


Sun King (Take 20)

 

これ、当然ながらビートルズの4人が同時に演奏した編集なしの一発録音です。

たった4人でこんな音が出せるのが本当に信じられない。

例えば、ピンク・フロイドもこの手の音をアルバムに残してますが、彼らは継ぎ接ぎだらけのテープを編集してその計算しつくされた音を出しているわけで、とてもじゃないですが彼らのデモ版なんかは世に出せるシロモノでもないでしょう。

ビートルズの後期は一切のライブをしませんでしたし、スタジオ録音の曲においてもこの4人は自分たちの演奏技術を自慢気に見せつけるようなソロとかを殆どしないのでうっかり見落としがちですが、本当に演奏技術が高い4人なんだとこのデモ版によって改めて認識させられます。

 

私のように「聴く音楽がなくなった」とか言ってる人でまだビートルズのアルバムを持ってない方は是非手にとってもらいたい。私がビートルズにハマりだしたのはまさしくその流れですw

この4人、ホンマ人類史上唯一無二のバンドメンバーなんですわ。

 

以下、Take 20のジョンたちの会話と「Sun King」の歌詞を。

ちなみに最後のスペイン語はポールと二人で適当に知ってる単語を並べたデタラメですw

※デモ版はジョンがマイクオフ状態でメインの歌詞を歌っているだけで基本的にインストゥルメンタル。それゆえ演奏力が更に際立ちます。

 

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(George continued practicing his highly echoed opening guitar passage)

 John said;

Now this won't keep the Apple staff in work for the next ten years, lads! We have all those families to look after, you know. A lot of people to keep.

 OK, Fab, Gear!

 George is getting silly, George, sir, George is getting silly.

Geoge said;

Can't find it

 (The opening guitar riff reminds them of the 1960 British instrumental hit "Man Of Mystery" by The Shadows, which George was trying to remember. George exclaims, which prompts laughter and then a vocal demonstration from John of how the guitar riff went. After George then attempts to copy it)

John said;

OK, OK

one, two, three, four

 

Here comes the sun king
Here comes the sun king

Everybody is laughing
Everybody is happy

Here comes the sun king

Quando para mucho mi amore de felice corazón
Mundo paparazzi mi amore chicka ferdy parasol
Cuesto obrigado tanta mucho que canite carousel

 

Written by: John Lennon / Paul McCartney

John Lennon - Lead and Harmony Vocals, Rhythm Guitar 
Paul McCartney - Bass, harmony vocals, tape loops
George Harrison - Lead Guitar, harmony vocals
Ringo Starr - Drums, maracas
George Martin - Organ

Song Written: December 1968 to July 24, 1969
Song Recorded: July 24, 25 & 29, August 5, 1969

 

参考:

http://www.beatlesebooks.com/

 

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