ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

[歌詞・和訳]The Beatles -Strawberry Fields Forever

 

ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァ

 

君を連れ出そうじゃないか
僕が行こうとしてるストロベリー・フィールズへ
リアルなんかこの世に何もない
そしてくよくよ考えるようなことも何もないのさ
ストロベリー・フィールズは永遠なんだ

両目を閉じれば生きるのも容易いこと
見ているものすべてが理解を鈍らせる
何かになろうとするのは難しい
でもすべてはうまくいくものさ
僕にとってはどうでもいいことだけどね

君を連れ出そうじゃないか
僕が行こうとしてるストロベリー・フィールズへ
リアルなんかこの世に何もない
そしてくよくよ考えるようなことも何もないのさ
ストロベリー・フィールズは永遠なんだ

”僕の木”の範疇には誰もいないんだと思う
皆はもっと高いか低いところにいるはずって意味さ
それは君が・・そうさ、君が同調できないってこと
でもいいんだ
それほど悪くないことだと僕は思ってるよ

君を連れ出そうじゃないか
僕が行こうとしてるストロベリー・フィールズへ
リアルなんかこの世に何もない
そしてくよくよ考えるようなことも何もないのさ
ストロベリー・フィールズは永遠なんだ

いつだって、いや時々じゃなく考えてるんだ、本来の自分のこと
でもそうさ、それは夢うつつの時だってことを僕は分かってる
僕が考える、知ってる、意味する・・うんまぁそういうの
でもその全てが間違っている
それって僕は噛み合ってないんだなって自分で思ってるよ

君を連れ出そうじゃないか
僕が行こうとしてるストロベリー・フィールズへ
リアルなんかこの世に何もない
そしてくよくよ考えるようなことも何もないのさ
ストロベリー・フィールズよ永遠なれ
ストロベリー・フィールズよ永遠なれ
ストロベリー・フィールズよ永遠なれ


クランベリーソース”

 

 

 


The Beatles - Strawberry Fields Forever

 

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まずは上記の動画でメンバーの風貌を見ていただきたい。

 

世界各地のツアーやレコーディングに明け暮れた日々に疲れきった彼らは自分のミュージシャンとしての時間を取り戻すため、「自分たちには意味がない」と捉えたツアーを一切やめることになります。それが66年8月。デビュー時からビートルズのその才能はえげつないですが、これ以降、彼らはアーティストとして更なる高みへと昇りはじめます。しばらくメンバーはバラバラになり、久々に4人がスタジオで会したの66年11月末。関係者は4人の風貌を見て少なからず驚いたようです。皆、口ひげをのばし、ジョン・レノンなんかは髪の毛を短くして、世界中で流行らせたマシュルームカットの片鱗もない。

上の動画の「Strawberry Fields Forever」のクリップが撮影されたのは67年1月末ですが、本当にメンバーそれぞれ風格のあるいい顔をしています。若くしてエンターテイメント界のトップに君臨しつづけてるといった浮ついた感が微塵もありません。当時メンバー年長者のジョンですらまだ26歳です。こんな達観した感のある26歳いますかね??ww

 

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単に演奏しているところを撮影しているならまだしも、50年以上も前にこういうそれこそ「イメージビデオ」を撮影するなど本当に革新的であります。そしてこのような映像を2日間もかけて撮影(「Penny Lane」のクリップも撮影)したのはやはりツアーを辞めたことによってファンに直接姿を見せることができなくなったことへの穴埋めの部分もあったはずです。

 

同じ67年にリリースされる金字塔的名盤「Sgt Peppers Lonely Hearts Club Band」のアルバム収録曲と同時に制作されたこの曲ですが、アルバムリリースに先がけて「Penny Lane」との両A面シングルとしてリリースされます。(ビートルズの考えとして先行シングルはアルバムに入れないのでこの時点で名盤「Sgt Peppers~」からは外されることに)

英本国ではビートルズのシングルはデビューからずっと13作連続でチャート1位を獲得し続けたのですが、この両A面シングルは初めて2位どまりとなります。

ポール・マッカートニー作の「Penny Lane」はまだしもジョン作である「Strawberry~」は完全にヒット狙いというより前衛的な曲なので仕方ない部分もあるでしょうが当時の英マスコミには「ビートルズは終わった」と話題になったとか。まぁそのあとすぐに「Sgt Peppers」の化け物アルバムがリリースされるのでマスコミ連中のポンコツっぷりが即刻証明されるわけですがw

 

前述が長くなりましたが、なんせこの曲に関してはエピソードがあり過ぎでなかなか全部を書くのはしんどいw

まずは曲のあらましを簡単に。

67年2月に「ペニー・レイン」との両A面でリリースされたこの曲はジョン・レノン作(クレジットではビートルズの習わしとしてポールとの連名)によるもので最高位は英国で2位、米国Billboardでは8位でしてビートルズとしては大ヒット曲とはとてもいえません。日本人でもこの曲を知ってる人は他のビートルズの名曲に比べて少ないと思います。

・・が、本当に奥が深い曲でして、私も何十年も聴いてて、ここ最近になって興味が湧いてきた曲です。

 

ジョンは幼少期、リヴァプール郊外にある叔母の家に住んでいましたが、彼が家から逃げ出して友人たちと遊んだり物思いに耽っていた場所が近所にありました。それが救世軍が運営する戦争孤児院「Strawberry Field」(曲のタイトルのように"s"はついていない)であり、それがモチーフになってます。

幼少期へのノスタルジーの象徴をStrawberry Fieldsとし、幼少期から抱いていた周辺の人間との違和感、例えば「自分が見えているものが周辺の人には見えていない」「ものの見方が周辺と異なる」といった違和感や恐れを吐露し、自分に対して向き合ったプライベート色の強い曲です。それだけにジョンのこの曲に対する思い入れも強かったことが生前の数々のインタビューで伺えます。

 

そしてレコーディングについてです。

まぁなんせ当時の技術を駆使していろんなことをしてまして、その詳しいことは私なんか分かりかねますが、この曲には約5週間、45時間もかけてレコーディングしてます。

実際に各テイクの音を聞くとその変遷が面白い。この曲ではメロトロンが導入され、新しい物好きのポールが早速それを使いこなしてます。

Take 1ではメロトロンはバック演奏のみです。

 


Strawberry Fields Forever (Take 1)

 

そして、Take 7では冒頭にポールのメロトロンが象徴的に入ります。そう、「ストロベリー~」は全般的にジョンの作ではありますが、ポールも曲作りの面で重要な役割を果たしてます。

 


Strawberry Fields Forever (Take 7)

 

そして、Take 26はジョンの要望で導入したストリングスがフィーチャーされたもの。ジョージ・マーティン(プロデューサー)がそのためにスコアを書き上げてますが、結構なアップテンポで激しめです。

 


Strawberry Fields Forever (Take 26)

 

さてこの曲の本題はここからですw

なんとジョンは「元のシンプルなテイクも激しいテイクも気に入ったから両方を使いたい」と無理難題を言い始めます。ジョージ・マーティンがテンポもキーも違うことを理由に「無理だ」と却下するも、ジョンは「君ならできるよ、ジョージ」と突き返しスタジオを去ります。ジョンはこういう編集技術やマシンについてはメンバーで最も疎いらしく、いつもマーティンに丸投げだったようですが、それまでもそのような場合が多々あったのでマーティンは相当辟易していたようです。エンジニアのジェフ・エメリックに相談したところ、「やるしかない」との返答が。

 

よってマーティンとエメリックはこの前述のTake7とTake26をつなぎ合わせるという難関作業に入ります。エメリックはテープマシンの可変速度コントロールによりTake 7の速度を上げ、Take 26の速度を下げることでキーとテンポの問題をクリアしたわけですが、リスナーに違和感がないようにするためのその接合部分のポイントを決めるのも一苦労だったようです。そのポイントは曲のスタートからちょうど60秒後、2コーラス目の'Let me take you down 'cause I'm going to...'の'going'がTake 7がTake 26に切り替わってるんだそうです。全くシームレスで違和感なく繋がっております。

今の時代ならそんなのは簡単な作業でしょうが、当時のテープを切り貼りの作業は相当厳しいものがあったようです。

ビートルズの楽曲の良さはメンバー4人だけでなく、ジョージ・マーティンはじめスタジオのサポーターがとてつもなく優れていたからこそというのも揺るぎない事実です。

マーティンがスコアを書いたこの曲のストリングスも非常にヘヴィで素晴らしいと思います。

 

まぁこの曲にある膨大な背景のほんの触りだけピックアップしましたが、ビートルズとしてはあまりヒットせず、一部であたかも「落ち目」扱いされたこの「Strawberry Fields Forever」ですが、ビデオクリップも含め50年以上を経た今でも全く褪せる要素がありません。その評価は後世においても揺るぎないものでしょう。

そして、この67年のシングル曲を皮切りにビートルズは後期の3年間で異次元レベルへと駆け上がっていくことになります。

 

なお、レコーディング時が感謝祭だったこともあってジョンの言葉 "cranberry sauce" が意味なく曲の最後に入ってますが、これがなぜだか'I buried Paul'(ポールを埋めた)と聞こえると話題になって「ポール死亡説」まで出る羽目にw

キリがないのでこの辺で。

 

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2005年に閉鎖されたStrawberry Fieldの門

By Lander777 at English Wikipedia - Transferred from en.wikipedia to Commons by Liftarn using CommonsHelper., Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=12002478

 

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Strawberry Fields Forever

 

Let me take you down
'Cause I'm going to Strawberry Fields
Nothing is real
And nothing to get hung about
Strawberry Fields forever

Living is easy with eyes closed
Misunderstanding all you see
It's getting hard to be someone
But it all works out
It doesn't matter much to me

Let me take you down
'Cause I'm going to Strawberry Fields
Nothing is real
And nothing to get hung about
Strawberry Fields forever

No one I think is in my tree
I mean it must be high or low
That is you can't, you know, tune in
But it's all right
That is I think it's not too bad

Let me take you down
'Cause I'm going to Strawberry Fields
Nothing is real
And nothing to get hung about
Strawberry Fields forever

Always, no sometimes think it's me
But you know I know when it's a dream
I think I know, I mean, er, yes
But it's all wrong
That is I think I disagree

Let me take you down
'Cause I'm going to Strawberry Fields
Nothing is real
And nothing to get hung about
Strawberry Fields forever
Strawberry Fields forever
Strawberry Fields forever

"Cranberry sauce"

 

Songwriter(s):  Lennon–McCartney

 

The Beatles

John Lennon – vocals, rhythm guitar, bongos, Mellotron (end)
Paul McCartney – Mellotron (take 7 portion), bass guitar, piano, lead guitar (end), timpani, bongos
George Harrison – lead guitar (take 7 portion), slide guitar, swarmandal, timpani, maracas
Ringo Starr – drums, percussion
uncredited – tack piano