ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

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[歌詞・和訳]The Beatles - Tomorrow Never Knows


トゥモロー・ネヴァー・ノウズ


心を無にし、緊張を緩和させ流れに身を任せよ
それは死ではない 臨終にあらず

全ての思考を封印し、虚空に身を委ねよ
それは輝かしいこと 光明なり

更にあなたは内なる意味を見抜くこともあろう
それが事の本来の姿 本質なり

愛は全てであり、愛は衆生である
それは知っておくべきこと 方便なり

無知と憎悪が死者を嘆き悲しむるやもしれない
それは信ずるべきこと 信仰なり

それでも儚き夢の色彩に耳を傾けよ
それは今を生きるにあらず 常住なり

即ち臨終への「生存」なる競技に興じよ
それは始まりの終わり それは始まりの終わり
それは始まりの終わり それは始まりの終わり
それは始まりの終わり それは始まりの終わり
それは始まりの終わり それは始まりの終わり





このサウンドと歌詞、50年以上前に20代の若者が作った曲というのが驚愕です。
21世紀に聴いても全く遜色がない。
Revolver(66年)の最後に収録された曲で、シングルカットはされてません。

まずは歌詞、及び私の訳について。

「being」や「knowing」などの平易な単語を使っているのに極端に意訳しすぎと思われるかもしれませんw
この曲自体がビートルズのメンバーがインド音楽に強烈に衝撃を受けた直後のものでして、仏教を相当意識してジョン・レノンが書いたものです。
よってこの訳については強引に仏教用語を多用することにしまして、哲学的に、そして仏教の僧が語ってるように意訳した次第です。
なんといっても一番ひどい意訳は「is not living」を「常住」とした部分でしょうw

「生きること」とはそれは即ち「無常」であります。
(無常=万物は生滅流転し、永遠に変わらないものは何一つないの意)
よって、notがついているのでその無常の反対語「常住(じょうじゅう)」としました。
しかし、この意味は「変化せず永遠に存在すること」で「is not living」と一見真逆っぽいんですが、要は「生,現存(=Living)」を超越したものこそが「永遠に変化しないもの」ということで無理からにそう訳しました。

最後の「the end of the beginning」の一節ですが、はじめは間違えて「終わりの始まり」と訳してアップしてしまいましたが、よくよく見ると逆です。
「始まりの終わり」が正しい訳ですね。
日本人ってのは「終わりの始まり」という言葉を好んで使いますが、とあるブログによると、英語圏では逆の「始まりの終わり」を使うことのほうが多いようだとのこと。(検索結果により検証されたようです)
じゃあこの2つの違いはなんなんだというと、長くなるので割愛しますw

そして「Tomorrow Never Knows」というタイトルですが、辞書を引けば分かりますがこんな言い回しは英語にありません。せいぜい「ビートルズの曲」と書いてるくらいです。
これは当初「Mark I」、「The Void」という仮のタイトルをつけてこの曲の録音を進めていたらしいのですが、リンゴ・スターが「Tomorrow Never Comes」(明日をあてにするなの意)を言い間違えたのを聞いたジョンがそのままタイトルに持ってきたようです。
歌詞が硬い内容だけに、歌詞にない変なタイトルをつけることでバランスをとったとのこと。
そう、ビートルズってのはこういうどこか冷めた部分があるんで、そこがまた面白いんですなぁ。

さて歌詞はともかく賞賛されるのはこの曲の斬新なサウンドです。

インド音楽のアルバムを聴いた彼らはコードが全部Eだったりしたことに衝撃を受けて早速それを自分たちの音楽に取り入れます。それがこの曲でして、この曲の場合は全部C majorのワンコードで作られています。

そして何と言っても曲の最初から最後まで飛び交うSE(Sound Efect)です。
この曲が今や当たり前のサンプリングの原点と言われています。
ここで多用されたテープ・ループ(ある特定のサウンドを延々繰り返すように編集されたテープ)は当時既に他のアーティストも使っていたのでしょうが、ビートルズが凄いのは他のアーティストのように単にその前衛的なものを取り入れた「実験」に終わるのではなく、曲として(商業的含め)成功させるところでして、ゆえに何においても「ビートルズが先駆者」扱いになってしまうわけです。

この曲ではポールが作成した5種類のテープループが使われているそうで、それは歪ませたギターやベース音、ワイングラスを鳴らした音なんかの再生スピードを変えたり逆回転させたりしたものです。かもめのヒステリックな鳴き声もギター音らしい。

ジョンのボーカルは前半は単なるダブル・トラックであるものの、間奏後の後半は録音手法を変えてます。
彼は単に自分の声を録音するのではなく、「ダライ・ラマが山のてっぺんから唄っているような音にしたい」と主張し、それについてスタッフと手法を模索。
スタジオで使われていたハモンド・オルガンにつなげていたレズリースピーカーを通して録音したといいます。(・・と言われても私はよく分かりませんがw)

間奏の後半にインサートされるギター音はポールの「Taxman」(Revolverに収録)のソロを逆回転させたものらしく、キーがDであるため、わざわざCに移調させるという念の入りようw

リンゴの渋いドラムもバスドラの中にセーターを詰めるなど試行錯誤のうえで特殊な音声を作り出しているとのこと。

曲の再生時間わずか3分、たった3テイクで作り上げたというこの曲はえげつない量のアイデアと斬新なテクニックが取り入れられているわけで、それが現在にもおいてエレクトリック系の音楽に通ずる曲として再評価される所以です。




Turn off your mind, relax and float down stream
It is not dying, it is not dying

Lay down all thoughts, surrender to the void
It is shining, it is shining

Yet you may see the meaning of within
It is being, it is being

Love is all and love is everyone
It is knowing, it is knowing...

... that ignorance and hates may mourn the dead
It is believing, it is believing

But listen to the colour of your dreams
It is not living, it is not living

So play the game "Existence" to the end...
... Of the beginning, of the beginning
Of the beginning, of the beginning
Of the beginning, of the beginning
Of the beginning, of the beginning

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