ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

ドラマ・バチスタ4と死因不明社会

今は付き合いはありませんが、ある知人女性Y子の話です。



関西のとある大病院の外科の看護師だった彼女は若い時に同じくその病院に務める一周りほど歳上の医師と結婚する。
結婚後は山陰地方にて生活をはじめた。夫の父親が山陰で開業医をやっており、それを夫がゆくゆくは引き継ぐことが決まっていたためだった。
夫の両親との同居生活は特に問題もなく、夫婦の間に二男が生まれた。

しかし、もともとY子は体も弱く精神的な疾患を持っていた。
理由は詳しくは知らないがそれが結婚後に悪化していく。そうなると、夫婦生活も疎遠になりはじめ、夫はクラブのホステスと浮気をはじめた。
Y子も女の勘ですぐにそれに気付いた。

結局、夫婦生活は破綻し、離婚。
離婚後、Y子は子供を引き連れて京阪神に住み始めた。別れたとはいえ、夫には潤沢な収入があるので、養育費はたんまりと毎月振り込まれるため生活に不自由はなく、子育てをすると共にY子は自分の精神疾患の治療に専念した。

夫の方は離婚後、速やかにホステスと再婚した。
再婚後は元ホステスも夫の両親との同居生活がはじまる。

Y子と元夫は月に一回は会っていた。
Y子はもちろん会いたくもないのだが、溺愛している息子たちに会いたい夫の要望を叶えるには一瞬でも接触せざるを得ない。親権をY子に与えた際の条件でもあった。

そういう生活を5年以上続けた頃、夫はふと自分の再婚相手について不満を漏らし始めた。
Y子と生活していた頃は元々病院に務めていたY子は医療のことを熟知していたこともあり、開業している病院の経営についてもうまく補佐作業をしていた。
しかし、再婚相手の元ホステスとなると、そのような経験もないためうまく補佐もできない。Y子とは関係がよかった姑ともホステスだった彼女の場合はうまくいかず、家庭内は結婚当初からギクシャクしていたのだった。

そのような不満をもらしはじめてからしばらくすると、今度は元夫はY子に「よりを戻したい」というニュアンスのことを言い出しはじめた。
Y子にはその気がサラサラないので頑なに拒否を繰り返す。

そんなある日、元夫からY子に電話があった。
妻が突然、自宅で亡くなったという。
亡くなったっ女性はまだ40代前半。Y子はその女性と電話で話をする機会も稀にあったがいつも元気だった。夫から彼女が病気だという話も聞いたことがない。
亡くなった直後には元夫の父親が検死。単なる心臓麻痺と診断され、速やかに火葬されたという。

Y子はその一連を語った後、私にこう断言した。
「彼女は絶対、元ダンナたちに殺された」



なんで、こんなワケのわからん話を長々と書いたのかというと、先日のバチスタ4のドラマを見て、ふとこの事を思い出したんですなぁw
静岡と神奈川の県境の僻地で病院を経営する院長の桜宮巌雄(柳葉敏郎)は周辺の死因不明遺体の検死を一手に引き受ける警察医も兼務しているんですが、それに伴い不可解な疑惑が浮かび上がってくるシーンがあったのです。

バチスタのドラマは今回初めて見たのですが、キャストはイマイチであるものの、やはり海堂尊の原作がしっかりしてるのでそれなりにおもしろく、今後の展開が気になります。

海堂尊氏は以前から、「たかじんのそこまで言って委員会」に何度も出演し、「死因不明社会」の危うさを繰り返し主張しておりました。
日本では死体の解剖が先進国最低レベルのわずか2%しか行われず、よくわからん死因の遺体がそのまま簡単な検死後に火葬され、うやむやになるケースが毎日のようにいくらでもあるわけです。
警察医が少ないなど体制等いろいろな問題があるようですが、グレーな死体は「もうめんどくさいからいいや」でスルーされてるのが現状。
殺害という重罪の犯罪者をのさばらせ、無念の死を遂げた方がどれだけこれまでにおられることか。

稀有なパターンである遺体解剖をした場合でもドラマであるような不可解な操作(実際はまずないと信じたいですが)や誤判断の余地があったり、または私の知り合いだったY子の元夫のケースのように検死を身内でやることにどれだけの信ぴょう性があるかって話で、そのへんが結構ゆるゆるなのかもしれません。
「元ダンナに殺された」ってのはY子の単なる妄想に過ぎないとは思いますが、そういう疑いが持たれる検死が許されること自体がおかしい。

最近は法の改正があったりして多少の改善はあるようですが、海堂氏によるとまだまだ法医学会には問題があるようで、彼の啓発活動は続いてるようです。
我々も訳の分からん殺害に巻き込まれる可能性があり、早急な改善が望まれますな。