ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

ポール・マッカートニー「アウト・ゼアー・ジャパン・ツアー」を観た!!(3)

今回のライブでは本当にビートルズ時代のことを重きにおいていて、ジョンやジョージのことについて語る場面も。

また以前はビートルズ時代の曲を自分のライブで演奏するにしても、それはポールが単独で作った曲のみしかしなかったわけですが、今はそのこだわりも捨てていて、今回のリストになかったものの、ジョンの「A Day in the Life」を演奏したり、今回も披露したジョージ作の超名曲「Something」を披露したりしております。
「Something」についてはこれまでのツアーでやってたように、ポールのウクレレでの演奏でスタート。途中のギターソロのパートからバンドの演奏が加わり、ガラッと変わって結構ヘヴィな感じの「Something」となっていきます。

ポールはインタビューで語っております。
「そういう曲をやると、すごく感情を動かされる。家族を亡くした時のような気持ちになるんだ。でも一方で素晴らしい思いも味わえる。ある意味で彼らに触れ合えるようなものだから」

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スクリーンにはビートルズ時代のポールとジョージの姿が。
そして曲を歌い終わるとポールはジョージに向けて「いい曲を残してくれてありがとう」と語った。

ライブの全体的な印象としてはSomethingなんかもそうですが、重低音が利いた結構ヘビィな感じのアレンジが多かったように思います。
ビートルズが来日公演からしばらくして一切のライブ活動を辞めてしまいましたがその理由として「観客がギャーギャー騒ぐばかりで聴いていない」などいろんな理由があったようですが、そのひとつに当時の音響システムがしょぼかったというのもあったようです。
なので音響技術が格段に上がった今の時代、それによって爆音を奏でることができたり、いい音に接することで新たな刺激がポールにはあるようでそれを今は楽しんでいるらしいです。

例えば、私なんかが印象的なのは映画「007」に提供したウィングス時代の名曲「Live and Let Die」です。
正直、この曲のオリジナルは今CDとかで聴いてもちょっと音圧がないというかなんというかあまり迫力もなく、ちょっと古臭さを感じさせるアレンジになっております。
・・が、今回のライブで聴くとすごい音圧で、オリジナルを遥かに超えて原曲の良さが更にパワーアップして観客を魅了します。

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ステージの演出としては一番ド派手だったLive and Let Die」。
日本での公演でも意外にも火が結構使われていました!


金字塔的名曲「ヘイ・ジュード」なんかを合唱できるのもこのポールのライブならではの醍醐味です。
ポールはこの「ら~~ら~ら・ららら~」の大合唱のとき、「ダンセイダケ」「ジョセイダケ」と男女で分けて合唱させて最後みんなで合唱させるという演出もしてホンマ劣悪席のスタンド上段の我々も一体となって合唱できました。
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観客が最も一体になった瞬間。

私個人として感慨深かったのは「オブラディ・オブラダ」です。
この曲は私の弟が小学校の時、運動会のダンスかなんかで流れるこの曲がえらく気に入り、初めて弟が買ったシングルがこの曲でした。
当時、とっくの昔にビートルズは解散していたわけでして、なのによくこの曲のシングル盤が街の小さなレコード店であったものだと今にして思えば感心するのですが、購入後に自宅で繰り返し弟とアナログ盤を聴きました。
この曲を合唱しながら数十年を超越して今ポールと唄っていることに気持ちが高ぶるのは言うまでもなく、私より先輩方が多いこのライブ会場、いろんな曲でそれ以上の気持ちの高ぶりがあった方もさぞ多かったことでしょう。

そして怒涛のエンディング、Golden Slumbers ~ Carry That Weight ~The Endまでのメドレーです。
これ以上のエンディングは考えられません。
ビートルズの事実上のラストアルバム「Abbey Road」のエンディングの3曲です。
これほどの素晴らしいメドレーを編み出したポールはやはり天才としかいいようがない。
ライブでこのメドレーに接することができたことはホンマ最高の思い出になるでしょう。

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感動的なラストの「The End」。沈む夕日の映像と共にこの曲も終焉に。全く71歳とは思えないパワフルなステージでした。

この日、2時間40分もの間、ほぼぶっ通して演奏し、観客に語りかけ続けたライブ。
「僕は今ビートルズ時代の5倍は働いている。僕らがかつてコンサートで演奏してたのは30分くらいだったからね。身の程をわきまえたいけど、演奏するのは楽なんだ」
と語るポールですが、私がライブ中で気になったのは休憩どころか一切水すら飲んでる気配がなかったこと。
ライブの帰り道、ビッグイシューのインタビューを電車で読んでると、それについて奇遇にも答えていた。
アメリカの女の子たちに「水も飲まないんですね!」と言われたことがあるらしい。
「英国では誰もステージで水なんか飲まなかったよ。僕は古いタイプの人間なんだ」
一瞬だけ頂点を迎えた古(いにしえ)の某ヘビメタバンドなどタバコを吸いながらステージで演奏していたが、やはり格が違うってことだろうか。


単純かもしれませんが、私は今回のライブでの観客とのやりとりを見ていて、「ポールってのはいい人なんだ」と率直に感じました。
スターぶってるところは微塵もなく、自分を神格化させる気配は皆無でした。
(例えば、 Live and Let Dieのど派手な演出で、炎と爆音でステージが真っ白になり、かっこよく曲が終わった後、彼は煙の中から耳を塞いで鼓膜がいかれたジェスチャーをしながら出てきたww)

人間ができているからこそ、この厳しい業界をこれだけ長きに渡って生き抜くことができ、普遍的ないい曲といい詩が書けるんでしょう。

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曲の合間は常におどけていたポールw

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アンコールで名曲「イエスタデイ」をアコギ一本で披露後、深々と頭を下げるポール。



ステージを去るときに「おおきに!」と言って、「また会いましょう」と何度も言っていたポール。
本当にまた来ることがあるのならまたこのライブに接してみたい。
今度はもうちょっとマトモな席でw

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おわり