ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

東京オリンピック招致と福島第一原発の汚染水問題

そもそも東京オリンピックに興味のなかった日本人。私もその一人だったが、ここ最近は是非とも東京にオリンピックを!と願ってる人も多いはず。関西に住む私もこの日本の閉塞感を打破するきっかけになればと思っていたのだが・・。
今朝の報道で一気に考えが変わってしまった。


東京にオリンピックを招致するのは時期尚早としかいいようがない。


福島第一原発の汚染水問題が海外で大きく取り上げられている。
それは日本国内の報道の比ではないという。
どちらがマトモか。
私はどうも日本の政府やマスコミは福島第一の問題について軽視し過ぎているとしか思えない。
それは私も含め日本人そのものが福島や原発事故の問題について他人事になっていないか。


先日のタンクからの汚染水漏れが発覚した時、マスコミはどう報道したか。
東電のずさんな管理を指摘するもので、タンクのチェックを1日に○回だけ目視によりチェックのみだの、タンクの周辺を囲った水漏れを防ぐブロックがあるものの、そび排水口が常時オープンのままで意味をなしてなかっただのとピントのずれた指摘や批判ばかり。

じゃあ、日々どんどんアホみたいに増えていくどでかいタンクをあんたらマスコミならどう管理して保守するだって話で、東電が怠慢とかそんな問題ではない。
ましてや過酷な状況下の中、原発内で命がけで働いておられる大勢の方々に対して敬意の念すらコイツらマスコミにはないのか。
今、原発で必死に作業されている方々のほぼ10割が原発の事故を起こした直接原因に至る意思決定に何ら関係のない方ばかりであり、彼らを安易に批判できるような立場にいる人間などどこにもいない。

問題はタンクの保守なんてものではない。
毎日何百トンも地下水が原発に流れ込んでいること自体が問題であることは改めて言うまでもなく、バカにでも判る話。

この地下水に対する根本的な対応策を実行しなかった東電。しかし、今ギリギリの中で経営をやっている東電を責められるか。
こんなものは日本政府が予算から引っ張りだしてやるのが当たり前で、そもそも今回の事故は東電のみならず日本政府にも責任は多分にある。「東電の肩代わりと捉えかねない」とかぬかしてる場合でなく、日本の根幹を揺るがす大問題と捉え、巨費を投じて対処すべき案件のはず。
先日亡くなった吉田所長も事故当初からずっと懸念されていたのが防潮堤とこの地下水だったという。

ようやく、安倍政権は地下水の対策に乗り出した。遅すぎである。
このタイミングでは五輪招致前のパフォーマンスと揶揄されても仕方がない。こんなのは民主党政権でやっておくべきことだが、原発を推進してきた自民党は政権を奪取した時点で真っ先にやらなければならなかったことがこの地下水対策だったのではないか。


安倍政権にもガッカリだがそれにも増してガッカリさせられたのが、東京招致委員会の竹田恒和理事長がブエノスアイレスでの記者会見で発した言葉である。

「福島とは250キロ離れている」

この発言を聞いた日本人に問いたい。あなたは違和感を感じなかったか。
それだけ遠く離れている東京は安全ですので、皆さん、オリンピックは大丈夫ですよ。汚染された東北じゃないんでね・・・とでも言いたいらしい。少なくとも私はそう受け取った。
竹田氏のご子息は今、たかじんの番組などで保守、及び皇族側の立場として明瞭な発言をされ、視聴者に好感をもたれているが、そのお父様である竹田氏の発言に至っては心底ガッカリした。
福島の方はこの発言をどのように受け止めただろうか。

福島はカネのために原発を誘致したのは否定しない。
・・が、とはいえその原発は東京をはじめとする首都圏の電力のために稼働してきた。
その原発が事故を起こし、今もなお汚染水や除染などで多くの福島や東北の方が苦しんでいる。
そんな状況下で福島第一と無縁ではない東京で「お祭り騒ぎ」なんかしている場合だろうか??
福島第一がある程度収束し、その復興の兆しを世界に見てもらうべく招致するのならいざしらず、とてもじゃないがそんな現状ではない。


ここぞとばかり韓国が水産物全面禁輸を持ち出してきた。
私の感覚からして最近の韓国などは友好国とも思えないレベルに陥っており、最も憎い国のひとつとなっているが、残念ながらこの水産物の件に関しては日本人は彼らを批判する立場にない。
海は世界につながっているわけで海洋汚染は日本だけの問題に収まらない。
韓国では自国の水産物ですら敬遠される傾向にあるという。日本が迷惑をかけている立場にあるのは自覚しなければならない。


改めて言いたい。
日本はここ数年間は福島を収束させることに全力を注ぎ、その結果を世界にお披露目する意味を込めて4年後に改めて招致を決定させることを計画し、つまりは2024年のオリンピック開催を目指すという流れでいいのではないだろうか。

招致委員会の理事長が「福島から離れている」ことをアピールしているようなみっともない状況では、とてもじゃないが東京にオリンピックを招致する資格はない。

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2012年3月の南相馬市。当時の規制区域のちょっと手前にて撮影。福島には至るところで東京までの距離の標識があった。