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一応、風景写真がメインです

[アカデミー作品賞受賞]「パラサイト」が単なる過剰評価でおもんない件

なんせ英語以外の言語としては史上初の作品賞ってことで「これはよっぽどおもろいんだろう」と受賞発表された昨日の晩、急遽シネコンに行ってきました。

ネットニュースのコメントも「映画を見終わってからもこの映画のことが頭から離れない」とか絶賛だらけだったんで当然私のなかで相当ハードルを上げて映画館に行ったわけですが、正直な話、全然それほど大した作品でもありませんでした。私としては「おもんない」レベルです。

米アカデミーと過剰評価してるポンコツ日本人に騙された感がありますw

 

以下の文章は若干ネタバレ要素があるんでこれから観る予定の方は読まないほうがいいかもしれません。

 

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この映画はコメディ性あり、社会性あり、サスペンス性ありとえらい持ち上げられておりますが、確かにそれらの要素がてんこ盛りかもしれませんが、なんでもかんでもいろんな要素を突っ込んで抜群のバランスを保つなんてのは至難の業です。この映画がそれに成功しているとは到底思えず、どれも中途半端です。

 

要は「半地下」に暮らす貧乏一家が金持ち一家に「寄生(パラサイト)」するって話で前半はどうやって寄生してくかの過程を描いててこの辺はコメディ要素が強く私も劇場でクスクス笑ってたくらいでおもろかったんですが、後半ですわ。

半地下家族によって追い出された金持ち一家の元家政婦が金持ち一家の留守中、豪邸にとある理由で戻ってくるところから「サスペンス」となるわけですが、これも面白みがなかったとも言えないんでこの辺もまぁいいでしょう。

問題はラストですわ。

豪邸での金持ち連中のパーティ中、急に猟奇的な血まみれの殺戮現場となるんですな。金持ち連中と貧乏人の鬱屈とした現状との対比のつもりだかなんだか知りませんが、前半は「詐欺一家」の要素はありながらコミカルに描いてた貧乏一家がなんで急に人殺しが平気(父親は実際に人殺し、長男は未実施ながら殺人を企て、母親は過失ながらも殺人)になるってどうよって感じですわ。基本的にこういう「平常」から「猟奇的殺人」への対比を見せつけるようなマンガやドラマ、映画はホンマ個人的に大嫌いなんですよねぇ。安直すぎでしょうが。中身が薄っぺらい。

 

特に社会性も感じない。

この映画からすると「金持ちは心に余裕があるのでいい人で、貧乏人は余裕がないクズ」としか捉えられない。まぁ劇中で貧乏一家の母親がそれらしきことをセリフで言ってますがそのセリフはひとつの意見として面白い要素がありましたが結果的にそれがこの映画の「核」みたいになってたら単なる噴飯ものでしょ。金持ちと貧乏人の対比なんか、黒澤明がとっくの昔に「天国と地国」(1963年)で描いてるのを挙げるまでもなく在り来たりすぎ。

 

このポンコツ映画が作品賞を獲ってすぐ、昨日私は「邦画がしょうもないので韓国映画に結局抜かれた」みたいなことを記事で書きましたがこれらは一部撤回いたします。今の邦画がしょーもないのは事実とは思われますが、別に韓国映画が極端に邦画より優れてるとかは今のところなさそうです。ある意味、安堵しましたわ。

まぁ今回の受賞は単にハリウッド映画の凋落とやたら人種や性別やなんだにうるさくなった米国の流れを受けたものというだけで「英語圏じゃない人の映画も我々は受け入れますよ?」ってなかんじのポーズの一貫でしょう。

 

昨晩は「スター・ウォーズ」を見たあとにこの「パラサイト」を観たので帰宅は午前1時前だったんですが、つまんない映画を観て気分を害したので、そのまま寝ることなくアマゾンプライム黒澤明の「羅生門」を初めて観ました。

ちょうど60年前に公開されたこの映画のほうがよっぽど感慨深い。カメラワークも全く違和感ないってのはすごいことです。土砂降りの中の羅生門の白黒映像も素晴らしい。

「パラサイト」なんかより優れた「外国語映画」はゴマンとあることだけは断言しておきます。

 

韓国のクソ映画の受賞はもうどうでもよくなりましたが、それにしてもまだ実写の邦画を映画館で観たことがない私ですが、見に行こうと思わせる映画は今後現れるのでしょうか。