ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

京都の紅葉2017~夜の雲龍院ライトアップと寺庭婦人のお言葉

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(2017/11/19 17:05)

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雲龍院の一人娘ということがバレててっきりフラれたと思っていた美里のもとに晃からのメールが届く。
慌てて自宅でもある雲龍院に駆け込み、いくつもある部屋を覗いて歩く美里。
とある部屋の前の廊下にその姿はあった。

首に巻いたままだったマフラーを慌てて取り、ショートの髪を右耳、左耳にかけて近寄る美里。
「後光厳後円融天皇のお姿を写した座像です」
突然の美里の言葉に部屋の中にある座像から目線を外す晃。

「すいません、来ちゃいました」と晃。
照れ隠しに美里は座像に指を指す。
「その木像はですね、お首の部分が抜けるように出来てるんです」
「なぜですか?」
「万が一、火事になった時に等身大の木像やと重すぎて運ばれへんから、せめてお首だけ抜いて逃げなさいって小さい時から教えられてるんです」

にこりと笑う晃。
バツが悪そうに美里は頭を下げながら「あぁ、堪忍・・こんな話」
「すごいですね、美里さんは」
予想外の反応に驚く美里。
「子どものころからそんな責任感を感じて暮らしてたんですね」

ドラマ「京都人の密かな愉しみ 縁結び編」(NHKプレミアム)より



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天皇の座像は左上奥の障子の奥にあります。(撮影禁止)

ワタクシ、えらいこのドラマを推してるように見えるでしょうが、ぶっちゃけた話、数回に渡って放送されたスペシャルドラマの全てを絶賛しているわけではありません。
初っ端に放送された「縁結び編」「代替わり編」、この2つの短いオムニバスドラマが好きなだけなんです。

京都の特殊な家庭に生まれた方たちの「責任感」、これがホンマよく描かれているんですわ。

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蓮華の間。

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ほんの9時間ほど前に見た(w)朝の日差しが入った時間もいいですが、ライトアップもいい感じです。

前回アップした9時間前の朝のようすはこちら

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京都ではこの季節、ライトアップをする寺はいくつもありますが、当然ながら昼間の拝観と夜のライトアップの拝観では入れ替え制が殆どです。
1時間ほど間を空けて、その間にライトアップの準備があったり、寺の方や関係者の方の食事、休憩もあるでしょう。
何より、夕暮れ時からライトアップまで居座れられたら1回の拝観で2度楽しめてしまうわけで、そういう輩を排除する意図もあります。

しかし、この雲龍院は入れ替えがありません。
しかも拝観料は京都市内最低レベルの400円です。
「800円も取ってこれだけ??」などと、いつも文句タラタラの不埒な私も何も言うことございません。

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この雲龍院のご住職の奥様のブログがあったので拝見しました。

ちなみに「寺庭婦人」とはお寺の奥さんのことだそうです。
気になったのは当然、ドラマの撮影、及び放映、その後の反響です。

やはり、私のように「ドラマ見たで~」とやってくる拝観者が増えたようですが、ドラマを実際に見て奥様はどう思われたのか。
一部引用させていただきます。

3日に放送された[京都人の密かな愉しみ] ですが、我が家では大いに愉しみにしておりました。 実は台本をこっそり読ませて頂いていたのですが、お寺の娘の重圧感を ここまで見抜いてくれたお話があっただろうか…? と もと寺の娘 として感じるものがありました。生まれた時からの窮屈感なので 何が? という説明がしにくいところでしたが、誇りであり 支えであり 京都人が拘る日本人としてのモラルだったのだと思い知らされ…(2015年1月6日の記事より引用)

伝統と何の縁もない団地育ちの私なんかではなく、小さいときからそれら文化を重んじてきた環境で育った方がおっしゃるんですからやはりあの「縁結び編」はうまく描かれてたんだと再認識です。

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私が行ったような時間帯、日没直後なんかはめちゃ混雑するのが常のようでして、先日の奥様のブログでは「有名になり過ぎちゃったね・・」と残念がる拝観者がいたとか。それはまだしも「二度と来るか!」と放つクズ(←これは私の表現で奥様は当然悪口は言っておられませんw)もいたらしい。
この寺と無関係の私のほうからもそういうクズは二度と来てもらいたくないものです。

ただ、私がライトアップに行った時は運良くそれほど拝観者がいなくて、ホントゆっくり楽しめました。
19時以降ですとだいぶ拝観者も減るとのことでそのタイミングのほうが狙い目かもしれません。

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朝に訪れたときよりも壁にくり抜かれた月のかたちがくっきり印象的に。

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悟りの窓。

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このお寺の名物である「走り大黒」は撮影禁止ですが、ドラマでは度々出てこられます。
「なんでウチにはクリスマスがないんや!」と泣き叫ぶ幼少の美里に、次の日、大黒様の前にプレゼントを置く住職のお父さん。
付き合い始めて一年後、美里のいない時に雲龍院へやってきた晃は同じように大黒さんの前に指輪を置きます。
そして美里のお母さんに「僕は僧侶に向いていると思いますか?」と尋ねます。

奥様のブログによると、ドラマでの大黒様を撮る際、脚本・監督である源孝志氏は大黒様に語りかけながら行っていたとのこと。
ドラマに出てくる大黒様は監督の意図の表情をしていて「主演男優賞」レベルの演技力だったとブログで絶賛されてますw

この感性がこの寺の美しさを演出しているのではとブログを読ませてもらって思った次第です。

※ちなみに雲龍院さんにはドラマのように娘さんがおられてその方の取材をヒントに制作されたものですが、奥様のブログによると実際には後を継がれる息子さんもおられるので後継者の心配はないそうです!!

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最後に庭ではなく障子にピンを合わせての再び蓮華の間w

名残惜しみつつ撤退しようかな??と思い始めたその時、突如バスで乗り付けたすごい数の団体客が!!
その人数に圧倒されながら、濁流に逆らうかのように拝観受付から脱出しましたw
本当に土曜の日没直後にゆっくりとライトアップを拝観できたのは偶々だったようですw

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10年も京都を撮影してきてなぜ今までここに来なかったのかサッパリ意味不明ですが、この雲龍院は紅葉の名所云々のみならず、恐らくどの季節に行っても魅せられるのではないかと。
今度は来年、春か夏に拝観させていただくつもりです。

ドラマのおかげで伝統・文化を守る人たちの幼少時からの苦しみ、悲しみ、またその矜持を少しながら知ることができました。
これからも撮影する時に訪れるであろう各名所でもそれらを踏まえた上で拝観させてもらわなければならないと思っています。


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ドラマはこの場所、紅葉を背景に美里と晃が語り合うシルエットのカットで終わります。