ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

NHK「京都人の密かな愉しみ・代替わり編」/演出・脚本:源孝志

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最近のハードディスクレコーダーは意図せんもんが録画されてたりしますが、この年末年始にもレコーダーが勝手に数本録画してたのがこのNHKプレミアムの「京都人の密かな愉しみ」という番組です。

削除する前に「京都人」というのが気になって「どうせおもんない」を前提に観てみるとこれが意外におもしろい。
「京都人とはいかなる人たちか?」を探るドラマがメインなんですが、このドラマを作るにあたり取材したその取材先へのインタビューなんかも差し込まれているので、「ドキュメンタリー」でもあります。

勝手に録画されていた「作法編」「縁結び編」(いずれも30分もの)が面白かったので、他のが見たくなったのですが、どうもこの番組は不定期に放送されるらしく、レコーダーが勝手に録画してたやつも再放送だったようです。
NHKのサイトを見ても今後の再放送や新作の放送予定が何も記されていない。

んで、ネットで転がってた動画が「代替わり編」というものです。

ドラマの主役は全話を通じて老舗和菓子店の若女将役の常盤貴子(めちゃ着物が似合う!!)なんですが、その回ごとに別のキャラが登場してそのキャラがメインで話は進みます。

「代替わり編」は概ね以下のような内容です。




京都には昔ながらの職人で「洗い屋」というのがある。
木でできた物は何でも洗うというもので、寺や神社の木造建築はもちろん、茶室や桐でできた浴槽やタンスもその対象となる。

その洗い屋「辻光」の四代目を父にもつ京都の大学4回生・辻純正(林遣都)には父(石橋凌)に言い出せないことがあった。
念願だった東京の出版社から内定の通知をもらったものの、「家業を継げない」旨をどうしても言えなかったのだ。

同じ大学に通う東京出身の恋人・文香(谷村美月)は純正が東京で働く意思を前々から聞いていたため、自分も早々に地元・東京での就職を決めていた。
いつまでも父親に言い出せずにいる純正に対し、文香は純正を責めず純正の父親を「親のエゴ」と批難する。
純正はそれに対し、父親は無理に家業を継がせようとする言動はとっておらず、あくまで「後ろめたさ」がある自分に問題があると言う。
両親に対する後ろめたさか?との文香の問いに純正は「この街(京都)に対する後ろめたさ」だと言う。

特殊な職ゆえに代々続いてきた家業を廃業するとなると困る人がたくさんいる。それを考えると・・と純正は言うものの当然、文香には納得できない。
純正に迷いがあるのなら身を引くことを口にした文香に純正は父親に言うことを改めて決意する。

寺で洗い屋の手伝いをしていた純正は昼飯時、父親に思い切って東京に行きたいことを打ち明け、土下座で謝罪する。
「行ったらええがな。お前の人生や。好きなことやったらええ」とあっさり認める父。

あまりに拍子抜けした純正は自宅に帰ってから母親(余貴美子)にそのことを話した。すると母親は「あんたが生まれた時から継がす気がなかったはず」と言う。
代々「辻光」では後継ぎの名前に「光」の文字を入れていたが、父親が息子を名付けるときに「光」の文字をいれず「純正」としたこと、また父親も若い時にフランス料理のシェフを志していたが家業のため断念した経緯があること。
母親から聞くエピソードは純正がこれまで聞いたことがないものだった。

その晩、家族3人で内定祝いでいつもよりすこし賑やかな食卓を囲んでいた時、純正は父親から「最後にひとつ仕事を任せる。やってみないか」と告げられる。

その純正ひとりに任せられた最後の仕事は老舗店にある桐箪笥の洗いだった。
老舗店の若女将が言うには先々代の祖母が所有していた桐箪笥で、若女将の妹が嫁ぐ歳に持って行くので事前にきれいにしておきたいというものだった。

さっそく一人で桐箪笥を洗い始める純正。
すると空っぽであるはずの桐箪笥の引き出しの合間から古ぼけた一通の封筒が出てきた。
躊躇しながらその封筒の中の手紙を読むと、先々代の女将が若かりし頃、家業を継ぐために結婚を諦め別れを告げた手紙に対する恋人からの返事だった・・



というようなものですが、この「代替わり編」の結末の父親と息子のやり取りのシーンではバックに流れる「京都慕情」(唄:武田カオリ)とあいまって思わず涙してしまいましたw

あんまりドラマとか映画を観ないワタシは純正役の林遣都という役者を初めて見たんですがホンマ演技が上手いし、他の役者もいい味出してます。
んで、このドラマは京都の映像美を含め演出もいいし、何より脚本がよい。
と思って最後のクレジットを見ていたら演出と脚本が同じ人物であることに気づいたわけです。
(映画ならまだしも、ドラマで演出と脚本を手掛けるってあんまないような??)

それが源孝志という人で、いろんな有名な映画やドラマを手がけておられるようですが、なんせワタシは全く知らないものばっかりだったので、ハードディスクレコーダーにこの人の名前を記録して、全て録画するようにしようかと。

京都人ですら知らない京都のことを学べる上に結構奥深い脚本。
ホンマBSで流れるたった30分の不定期ドラマにしては中身が濃すぎます。
今後の放送が楽しみです。いつになるか知らんけどw

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最後のテロップもおもしろいw