ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

下水道マンホールポンプの維持管理が自治体を襲う

昨日、三田を散歩してたらマンホールポンプの制御盤を目にしました。

イメージ 1
左が下水道のマンホールポンプの制御盤。

各家庭から排出される汚水ってのは汚水管を通して下水処理場まで流れているわけですが、水道みたいに圧がかかってるわけではないので、管に一定の勾配をつけての自然流下となります。

しかし、全部が自然流下で流せるわけがありません。
処理施設まで行く途中に避けれない逆勾配の地形があったらそこは管の埋設がどんどん深くなってしまいますし、川や水路があったりしてその底より深くを埋設するとなるとそれも深くなってしまいます。

そこで出てくるのがマンホールポンプ(以下、MP)です。
上の写真では前方の道路がちょっと上がっているところに小さな川を渡る橋があります。
川を下越しするとなると、それより下流の管はすべて深くなってしまいますので、このポンプで橋桁に這わせた管に圧送して川の向こう側まで汚水を流しているのです。

さて、このMPですが維持をするのがなかなか大変です。
ポンプがトラブルで止まったとしても汚水は次々と上流側から流れてくるわけで、それがマンホールいっぱいになると蓋から汚水や汚物は溢れだし、えらいことになります。ポンプ近隣の住民は相当不快な思いをするでしょう。

ポンプのトラブルとはどういうものか。
まずは当然ながらポンプは電気で動いているので停電すると稼働は停止します。
他にはアホな住民が紙おむつやタオルなんかを流してしまうと、それがポンプにつまり停止となります。このような場合でもMPには大抵2基のポンプが設置されているので、一つが止まってももう一基が稼働します。
しかし、何かものを詰まらせるというようなトラブルがあると、ポンプの設備が消耗し、早期の設備交換となってしまいます。ポンプの耐用年数は決して長いものではありません。

さて、上のようなトラブルが発生した場合、写真の制御盤にあるような回転灯が点灯し、それに気づいた住民が自治体に通報するか、自動で制御盤のほうから自治体に通知するなどします。
通知を受けたら自治体の人間(もしくは委託された業者)がすぐさま現場にかけつけなければなりません。
※ヤフーブログでこの業務に携わっている方の愚痴の記事がありました。
 「休みの日に限ってMPでトラブルが発生する」と・・なんとも気の毒(T_T)
設備そのものを維持する費用も大変ですが、こういう保守点検の費用も大きく自治体にのしかかります。


とはいえ、上の写真の下水道本管に対して設置されるMPというのは必要なものであって、維持管理費がどんだけかかろうが自治体は受け入れなければならない必要経費です。

イマイチ個人的に納得できんのが個人の宅内に設置されている「簡易マンホールポンプ」です。
隣接している道路に対して宅地高が極端に低いという家があります。
その場合、そこの宅内桝から下水道本管に自然流下で取り付けるとなると、下水道本管が極端に深くなってしまいます。
それを避けるために宅内に簡易MPを設置し、圧送で本管と接続させるのです。

設置工事から維持費までその多くを補助する自治体としては、そういう宅地には浄化槽を設置してほしいところではありますが、なかなかそうもいかない。
下水道の計画区域内において、宅地が低いからといって下水道の恩恵を受けないというのは差別に等しいという平等主義からくる考え方です。

しかし、面してる道路より低いだけの宅地に設置するのはまだマシです。
バブル崩壊直後の景気対策で公共事業にカネをばらまいてた時代なんかは、下水道の本管が布設される道路から遥か1キロほど離れた地形的に低いところにある家、そのたった1軒の宅地から簡易MPでわざわざ1キロの間を圧送させたりしております。
工事費も維持費もえげつない額になります。

まさか今の財政的に逼迫している状態でもその「平等主義」が生きていないことを願いたいところですが、それらの時代に設置されたMPは今も稼働しているでしょうから、維持管理は続けなければなりません。

下水道普及率がまだ100%に近づいてない自治体はこれから困難な地形における下水道工事しか残ってないでしょうから、MPの設置は増加を辿る一方。
逼迫した財政の中で保守点検の労力と維持管理費が今後延々と自治体についてまわることになります。

ってなことを制御盤を見た後、散歩しながら思いめぐらしていたわけですが、シロウトの薄っぺらい知識をベースにした持論ゆえ、誤り等がありましたらご指摘・ご意見を。