ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

やしきたかじん死す

「浪花の視聴率男」と呼ばれるやしきたかじんが3日亡くなっていたことが昨日の夜遅くに報道された。
関西のバラエティ番組をこよなく愛してきたワタシとしてはこの話題は避けられない。

劇場版・機動戦士ガンダムの主題歌「砂の十字架」を70年代末にリリースしたたかじんは、その時既に売れない東京での歌手生活に見切りをつけていた。
ガンダムの主題歌はその撤退のはなむけとしてキングレコードの配慮だったらしい。(ガンダムの主題歌ってことで歌手が誰だろうがどんな歌だろうが確実に売れるから)
その後、活動の拠点を大阪に移す。

桂三枝(現・桂文枝)にラジオ番組で見出されて以降、関西のラジオ番組、テレビ番組で起用されはじめ、その豪快な言動で関西で支持された。

東京の生番組で「用意を指示していた味の素がない」とディレクターたちに向かって怒り出してセットをぶち壊し、とっととスタジオを後にするなど、その「暴れん坊ぶり」が強調されるが、単なる暴れん坊ならば如何に関西人、大阪人といえども彼を支持はしない。
その根底に彼の異常なまでの繊細さ、生真面目さに視聴者が気づいていたからこそだと思う。
常に番組に対して真剣勝負で、番組収録後はスタッフを集め、(ワインを傾けながら)長時間の反省会を毎回開いていたのは有名。

まぁ正直、ワタシは彼の調子こいた物言い、もしくは自慢気な話などには辟易することもあったが、ワタシが彼を一番尊敬する一点は「金に汚くない」ことに尽きる。

彼は大金を積まれても「講演会」などは興味が無いので一切せず、CMのオファーなども多かったらしいが自分の言動が制約されることを恐れ、そのほとんどは蹴ってきた。

日曜の午後1時過ぎという全く視聴率のとれない時間帯にも関わらず、「たかじんのそこまで言って委員会」は関西で視聴率20%超える快挙を成し遂げ、関西人の日曜日の過ごし方を変化させたといっても過言ではないかと。
たかじんはなんだかんだといって「常識人」であり、非常に的確な見解を述べるので保守派論客が集まるこの番組でも司会者として人気があったのかと。

この番組は全国各地で放送されているが、日テレではネットされていない。
日テレも当然この番組を放送したいのだが、たかじんが頑なに固辞し、制作する読売テレビもそれに従うしかなかった。
一番大勢の視聴者を抱える関東にネットされれば、当然読売テレビも潤い、何よりたかじんのギャラも倍以上になるにも関わらず敢えて東京のネットを嫌うのは、東京には政治家や業界人、スポンサーなどの力が大きいため、出演者などがそれに気を遣い本音で話せないことを危惧したことによるもので、最後までその信念を貫き通した。
カネに左右されない彼だから通せるものであって、まず誰もこんなことはできんでしょう。

たかじんが残した番組はそのまま続行されると報道されているものの、関西のバラエティ番組がつまらなくなるのは避けられない。
北新地などでの破天荒な振る舞いを自分の「芸の肥やし」としてきたたかじん。それが自分の余命をあまりに短くしてしまったのは残念としか言いようがない。

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