ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

野口健、片山右京の遭難について語る

片山右京氏が事務所のスタッフを残して下山したニュースを世間はどう見ただろう?

ワタシなんかは「自分が同じ立場だったらメインの立場である我がの責任を取ってその場で一緒に死ぬことを選んだんじゃないかな?」
といった偽善者臭いイメージを勝手に思い浮かべたもんだ。

さて、以前にもこのブログで野口健氏のことを書いたが、この人の話は本当に面白い。
野口氏のキャラクター自体がおもろいのもあるんだが、ホントあっけらかんとした口調で自分が経験してきた危機的状態を語る。「危機を乗り越えた誇らしげな自慢」、または逆に「話したくもない悲劇」と常人ならなりがちな経験を淡々と、時にユーモアを交えて話す。

登山家ってのはホンマ、全く非日常的な経験・・具体的には「ついさっきまで元気だった仲間,知人の死」という場面を何度も経験されているんで、考え方なども理路整然としていて感情に流されていないのかもしれない。

その彼が今回の片山右京氏の遭難について自身のブログで記している。
マスコミが野口氏のとこにコメントを求めてきた際の
「片山さんが登山仲間を残したまま下山しましたが、どう思いますか」
という片山氏に対する非難めいた発言に「辛く胸をえぐられる様な痛み」を感じたという。

野口氏もまた2年前に同じような経験をし、苦渋の選択で仲間を残して下山した経験があるのだそうだ。
そして、片山氏が直面した状況を分析した上で片山氏の選択は間違っていないとしている。

「極めて冷たい表現に写るかもしれませんが、冒険では一部例外を除けば基本的には自己責任が求められる」

スタッフの遺族の方がこの遭難発覚後にすぐに「喜んで出掛けた美しい富士山で、仲の良い先輩と最期を一緒にできたことは幸せだったと思います」というコメントを出されていたがスタッフの一人は野口氏とも面識があるらしく、彼らは単に「片山の事務所スタッフ」というだけではなく、まさしく登山家だったのだろう。

今回の遭難は12月に予定していた南極最高峰ビンソン峰遠征に対する予行演習だったという。
「亡くなった彼らに対し最大の供養となるのは、右京さんが立ち直っていつの日か7大陸最高峰への挑戦を達成することではないでしょうか」
という言葉を送る野口氏。

冒頭のワタシの感情に流された対処は全くのクソドシロウトの考えで、冒険家にとっては論外のセオリーということになるのだろう。

「冒険人生は冒険から得るものもあれば、時に失うこともある。それでも、挑戦を続けなければならない時がある」
野口氏の発言はビビリのワタシにはちょっと理解しがたいもんがあるが、それだけに興味が尽きない。


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