ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

「斉藤」と「斎藤」、「船」と「舩」

毎日新聞に「字件ですよ!校閲の現場から」というコラム欄があります。
校閲」ってのは出来上がった記事において間違った漢字の使い方や「てにをは」の誤りがないか、または事実関係も問題ないかなどを最終的なチェックを担当するところで、ちょっと地味かもしれませんがめちゃ重要で大変なパートです。
その校閲に関する実際にあったドタバタなんかをコラムにされてまして、これがなかなかおもろい。

やっぱり何かと厳しいのが漢字でしょう。
先日(2015/08/19朝刊)のコラムも「校閲の仕事をして10年以上過ぎたが、(略)痛感するのは漢字の世界の果てしなさ」と出だしで書かれています。

この時に取り上げていたのが「異体字」について。

「似ているが違う漢字」の代表格が人名の藤さんと藤さんで、「斎」が「サイ」と読み、「物忌み」「心身を清める」意味なのに対して、「斉」は「セイ」と読み(慣用で「サイ」とも)、「ひとしい」「そろえる」の意味らしい。
要は「異体字」なんかの関係ではなく全く別物の漢字なんだそうで、なのに当のその苗字の本人たちが「斎藤」も「斉藤」もどっちゃでも同じだろってことでええ加減に使っていたりする場合があるので注意が必要・・とあった。

さて、逆に全然に似てないのに「異体字」である漢字として「」と「」を取り上げてました。
つまり、出稿元が「舩井」という人名を使っていても、「舩」は「船」の単なる異体字なのでこれは校閲としては「船」に統一させる必要があるらしく、出稿元に「人名を直したい」と申し入れするわけですが、「同じ字っていうけど、見た目が違うじゃない」と言われるので気が重いんだとか。

実は私も仕事関係で「舩」がつく苗字の人がいるんですが、例えば本人があらゆる場面にて「舩」を使っているのに、こちらがメールとか送るときに「船」を使い始めたらそりゃ先方も気分悪いはず。
そもそも「船」より「舩」のほうが何か知らんがかっこええ感じですしw

新聞も先方が名乗っている「舩」でいいんじゃないかとシロウト考えで思うわけですが、このコラムの担当者の水上由布氏は以下のように締めくくってます。

字は私たちのコミュニケーションツール。一つの漢字に幾つもの字体があると、意思疎通が円滑にいかず、誤解が生まれることもあるため、ある程度の整頓が必要なのだ。新聞という多くの人に読まれる場では、共通理解がある字の使用が求められる。そう心で確認し、今日も出稿元へ行くのである。

というわけで、舩井さん、舩江さん、舩戸さんに舩木さん、その他「舩」で名乗ってる皆さん、世間に対して紛らわしく迷惑なので、かっこつけた漢字使わんと普通の「船」を使ってくだされw

※これはあくまで毎日新聞校閲の見解であって、他紙が当てはまるとは限りませんのであしからず