ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

格安高速バス:関越道死亡事故

最近、車が絡む恐ろしい事故や事件が続いてますが、今回の高速バスの事故も本当に恐ろしい。
バスってのはやはり大きいので少々の事故を起こしたところで、普通の乗用車と違って乗客が死に至ることは滅多にないと認識してますが、あのような特殊なポイントで90キロ以上のスピードで突っ込んだらさすがにひとたまりもない。
 
ただ、京都府で相次いでるキチガイどもが起こした事件と違って、このバスの事故は社会のシステムにも問題あるし、我々の思考にも問題がある。
格安バスの現状を知ってる者にとっては起こるべくして起こった事故と思うだろうし、今後もまたどこかで起こり得るでしょう。
長距離バスをよく使う私なんかは今回の事故は他人事ではありません。
 
長距離の高速バスには2種類あります。
「旅行会社」と称する会社が手配するアーバス路線バスです。
 
今回事故を起こしたバスの場合は、大阪豊中の胡散臭い旅行会社がネットでバスの乗客を集めて、千葉の小さいバス会社に運行を依頼するという流れの形態で、つまりは「ツアーバス」になります。
金沢から千葉のディズニーランドまで片道3500円という格安で(イマドキでは普通か??)、このしわ寄せはもちろんバス会社にのしかかる。
事故を起こした小さいバス会社の従業員は「特に過酷な運行を強いられていない」とインタビューに応えてましたが、本当のところはどうなんだろうか。
 
事故を起こす前日、その運転手は千葉から金沢までを乗務(二人で運行)、朝に金沢に着いて休養後、その晩に金沢を出て明け方に群馬で事故を起こす。この勤務シフトは一般のバス乗務の普通の流れなんでしょうけど、恐ろしいのが金沢から千葉までの545キロを一人で乗務していたという事実。
バス運行会社の業界の中ではこの距離を一人で乗務するか二人にするかはギリギリのラインというが、ちょっと私の感覚では500キロを一人で夜通しの運転というのは考えられない。(トラック業界では普通なんでしょうけど・・)
例えば、私がバス移動でよく利用する大阪から東京も似たような距離ですが、これをたった一人の乗務で運行するということを事前に知ったならば、それが例え料金が100円だろうが私はまず乗ることはない。
 
規制緩和以降、こういういい加減な運行を許している国交省に問題があるものの、このブログで何度も言っているように、利用者も「安ければいい」という考え方を改めなければならない。
普通に考えて、晩の10時から翌朝の6時まで運行するバスの料金が3000円台ってのはどう考えてもおかしい。3500円×45人(乗客)でツアー会社のピンハネ、高速代とガゾリン代やその他諸経費を抜いたらどんだけバス会社に残るのかということです。
 
今回のツアー会社のやり方、この商法で大きくなったのが現在テレビCMまでやりだしたWILLER TRAVEL(ウィラー・トラベル)。バス会社を安くこき使うことで儲けまくり、そのカネを元手に今や自分の会社でバスを購入して運行するまでになっております。ただ、料金はバスが豪華な割には東京=大阪3000円台とかで、本当に怪しい。
 
例えば、私が利用するJRバスは大阪=東京間は6000円前後しますが(当然ながらシーズンや休日前、事前の予約などで料金は変動)、私が貧乏人にも関わらず、胡散臭いツアー会社のバスを使わずにJRバスのような比較的高い路線バスを使う理由はもちろん最低限の「安全」を買うためです。
「JRバスなら絶対安全だ!」というつもりはサラサラなく、運行中にバスから火を吹くような事故を起こしたりしてるんで、リスクは少なからずあります。・・が、「路線バス」は法的にも規制が厳しいのでええ加減な運行はできず、少なくともJRバスは大阪=東京間を一人で乗務すうようなことは絶対ない。リスクはツアーバスなんかより低いと思ってよいかと。
 
「安全」が絡むようなことについてケチることは、サービスを提供する側はもちろんのこと、利用者にとっても大きな負を背負う事になりかねない。利用する側もチェックが必要で、「安けりゃ良し」ではあまりに無防備すぎる。
 

 
 格安の高速ツアーバスの実態を知りたい方は私の5年前の記事を是非とも読んでいただきたい。