内村航平は前半の種目が終わった時点で3位、トップと0.4点以上離されていました。
これまでであれば、この時点で内村一人だけ頭が出ているのがパターンらしいのですが、今回は特に内村が失敗しているわけでもないのにベルニャエフというウクライナの若き選手がえげつないスコアを次々とたたき出していたんですな。
6つ目の種目の平行棒も内村が15.6点だったのに対し、ベルニャエフは16.1点。
とうとう0.901ポイントも離されて残すは最後の鉄棒のみとなったわけです。
2ch実況板でももう完全に「内村は銀どまりで確定」の雰囲気に。
ミスなしでここまできて0.9点差は絶対絶命。そんなプレッシャーの中でも内村は躍動感のある完璧な演技をまたも鉄棒で繰り広げていくんですが、ホントその凄さに見ていて震えがきました。
そしてフィニッシュの着地、これに少しでも失敗するとベルニャエフが鉄棒から落下でもしない限り優勝の可能性はないと言われていたんですが、見事マットと足に磁石でも付いているかのようにビタッと吸い付き、微動だにしない着地を成功させました。
もうこの時点で2ch連中も感動の嵐で涙する奴らも結構いましたw
この状況下で完璧な演技で終わらせるとは素晴らしいと。銀だろうが何だろうがもうそんなのは関係ないと。
んで、次に演技したベルニャエフ。
なんかミスはないもののよくわからんままにフィニッシュ。着地はちょっとよろめきました。
・・が、なんといっても0.9点差。着地は乱れても特にミスもないので彼が金だと素人連中は思っておりました。
何よりベルニャエフも金を確信して結果が出る前にガッツポーズをしてる状態です。
・・が、ベルニャエフの表情は一気に曇ります。
結果はご存知のとおりです。
2chでは「八百長」とかわけのわからんことをいうやつも結構いましたw
・・が、体操に詳しい人からすると、ベルニャエフは確かに鉄棒で大きなミスはなかったものの、内村のような攻めの演技をせず、そつのない逃げの演技をしていたようです。もともとベルニャエフは鉄棒が得意ではなかったとか。
ベルニャエフの鉄棒で「あれ?もうフィニッシュ?」と素人の私が思ったのは際立った演技がなかったからかもしれません。
そして結局着地の成功/不成功で運命が分かれてしまったようです。
わずか0.099点差でした。
この逆転劇、審判のスコアに対してベルニャエフは納得してないかもしれんなと思ってたのですが、そうではなかったようです。
先ほどヤフーニュースで出てた記事では記者会見でマスコミから内村に対して「審判に好かれているようですね」との質問を受けたようです。
それに内村が冷静に反論していると、質問に怒って反論したのは誰であろうベルニャエフだったというのです。
彼の言葉です。
「審判も個人のフィーリングを持っているだろうが、スコアに対してはフェアで神聖なもの。航平さんはキャリアの中でいつも高い得点をとっている。無駄な質問だ」
先ほど入ったニュースではロシアとウクライナで銃撃戦があり死者が出ました。
ロシアとのクリミア問題以降、ウクライナの経済状況は当然ながら芳しくなく、ベルニャエフは非常に劣悪な環境の中で体操の練習をしているそうです。
その境遇を跳ね除けて、今日は圧倒的な演技を繰り広げました。
その圧倒的な演技が内村にいい緊張を与え、最後の完璧な鉄棒の演技を引き寄せたのかもしれません。
ベルニャエフは東京オリンピックの時でもまだ20代半ばです。
その時に頂点に立っているのは彼なのでは?と思った人も少なくないでしょう。
演技のみならず精神も素晴らしい選手です。