ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

[歌詞・和訳]King Crimson - 21st Century Schizoid Man(21世紀の精神異常者)

 
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21世紀の精神異常者
 
猫の足、鉄の爪
脳神経外科医が”もっとだ”と悲鳴を上げる
パラノイア患者の毒の扉
21世紀の精神異常者
 
血の雨の爆弾、有刺鉄線
政治家たちが積み上げた火葬用の薪
ナパーム弾の炎にレイプされる罪なき人々
21世紀の精神異常者
 
死の種、盲人の拝金主義
詩人たちは飢え、子どもたちは血を流す
真に必要なものなど何一つ得られない
21世紀の精神異常者
 
 
 
 

 
2019年の今年、リリースされてから節目の50年になります。
 
最初に断っておきますと、原題「21st Century Schizoid Man」は90年代前後(?)くらいにレコード制作基準倫理委員会によって邦題が「21世紀のスキッツォイド・マン」に改題されましたが、「スキッツォイドマン」とか言われても何のことやらサッパリです。
私は変な連中たちの行き過ぎた「言葉狩り」には断固反対している立場なのでリリース当時の邦題「21世紀の精神異常者」で徹します。
 
おそらくプログレッシブ・ロックにおいて頂点の曲と言っても過言ではないでしょう。
冒頭に掲げたインパクトありすぎのジャケットで有名、かつキング・クリムゾンのデビューアルバム「In the Court of the Crimson King(クリムゾンキングの宮殿)」(1969)の1曲目として収録されている金字塔的傑作です。
 
当時はまだベトナム戦争が激しい状況にあり、日々ベトナム国民に甚大な犠牲者を出していたのはもちろんのこと、圧倒的強者であるはずのアメリカ側でも若い兵士たちが犠牲になり、帰還兵たちもPTSDなどで苦しめられました。
その戦争を指揮している政治家たちに対してピート・シンフィールドが直接的に批判の意を込め、来たる21世紀を憂いて詞にしたものです。
 
そしてこの詞を更なる高みへと誘わしているのがやはりその演奏です。
ジャズとロックを融合させたこの迫力の重厚サウンドピンク・フロイド以外のプログレが苦手な私にとってもわかりやすく聴きやすい。
イアン・マクドナルドのうねるようなサックスが印象的ですが、作曲の方でもマクドナルドが主導していたといいます。
 
アルバム「クリムゾンキングの宮殿」が語られる際に”ビートルズの「アビー・ロード」を蹴落として1位になった”ってなことをよく聞くのですが、実際はBillboardで最高28位ですし、英本国でも5位という凡庸な記録で終わっているようです。
それなのに「ビートルズを蹴落として」と語られる理由はそれだけ新旧交代を感じさせるインパクトがあったからでしょうか。
あまりにクォリティが高いデビューアルバムの1曲目ですが、結局キング・クリムゾンがこれ以上の傑作を以後生み出せなかったのも事実かと。(熱心なクリムゾンファンは否定するかもしませんが)
 
この「クリムゾンキングの宮殿」のジャケットはプログラマーでもあったBarry Godberという若者が描いたものですが、このアルバムがリリースされたわずか数カ月後の70年2月、24歳の若さで心臓発作で亡くなっています。
ジャケットの原画は現在、ロバート・フリップ(g)御大がお持ちのようです。
 

 
21st Century Schizoid Man (including "Mirrors")
 
Cat's foot, iron claw
Neuro-surgeons scream for more
At paranoia's poison door
Twenty-first century schizoid man
 
Blood rack, barbed wire
Politician's funeral pyre
Innocents raped with napalm fire
Twenty-first century schizoid man
 
[Instrumental: "Mirrors"]
 
Death seed, blind man's greed
Poets starving, children bleed
Nothing he's got he really needs
Twenty-first century schizoid man
 
 
Composer(s):Robert Fripp,Michael Giles,Greg Lake,Ian McDonald
Lyricist(s):Peter Sinfield
 
 
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