ROCK CD & DVD BUYER'S GUIDE III

一応、風景写真がメインです

[歌詞・和訳]Pink Floyd - Wish You Were Here (あなたがここにいてほしい)

 
あなたがここにいてほしい
 
そう、君は自分が理解していると思っている
天国と地獄との違いを
青空と苦痛との違いを
君は緑の草原と冷たい鋼鉄の線路との違いを分かっているだろうか?
微笑みとベールに覆われた顔との違いを?
君は自分が理解していると思っているのだろうか?
 
そして君は奴らの取引に応じてしまったのか
亡霊のために君にとっての英雄を?
樹木のために熱い灰を?
涼風のために熱い空気を?
変化のために慰めにならない慰めを?
そして君は戦いの舞台での端役を犠牲にしたのか?
檻の中の主役になるために
 
どれほど、どれほど君がここにいてほしいことか
俺たちは金魚鉢の中を漂う二つの抜け殻の魂そのもの
来る年も来る年もずっとそうだ
慣れきった同じことを繰り返し反復しているだけ
一体俺たちは何を見つけたというのだ?
それは昔から変わらぬ恐怖
君がここにいてくれたら
 
 


Wish You Were Here

 
 
※10年以上前に本トラックを和訳しておりますが、改めて読み返すと参考にした他人の和訳に引きずられて相当誤りがあるのと、昔の記事の形式では公式動画が貼り付けられないので再度アップします
 

 
73年、ピンク・フロイドはアルバム「The Darkside Of The Moon(邦題:狂気)」をリリース。欧米をはじめ日本を含む全世界で売上げをのばし、特に米国におけるロングセラーぶりは前人未到の記録となったわけですが、その後のメンバーに苦悩が押し寄せます。
 
次作アルバムに対するプレッシャーです。
いろいろ試行錯誤しすぎた故に、メンバーは既存の楽器を使うのをやめてゴム紐やグラス、スプレー缶などで音を鳴らして実際に曲を録音したほどの迷走状態に。(それらの曲は結局すべてボツ)
 
75年6月、そのような遠回りをしながらも録音作業を進めていたスタジオに1人の男がフラリと現れます。その白いトレンチコートの男はしまりのない太った体で頭は剥げており、お世辞にも洒落た感じの風貌ではない。
「誰の知り合いだ?」とメンバーそれぞれやエンジニアたちが見覚えのない男をいぶかしく思っていたものの、ロジャー・ウォーターズ(b)に「彼をよく見ろ」と言われて他のメンバーはそれが誰なのか初めて気づきます。
ピンク・フロイドの元メンバー、シド・バレットでした。
 
初期のフロイドにおける中心メンバーでありギター兼ボーカル担当、当時のフロイドの曲は彼によるものが殆どで、その端整な風貌からもまさしくカリスマ的存在だったのがバレットでした。
 
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しかし、ドラッグの過剰摂取により意味不明な言動が多くなり、誰も彼を制御できなくなったため、やむなく残りのメンバーたちは68年に彼を解雇とすることに。
カリスマ無き後、フロイドは辛酸を嘗めるもののウォーターズを中心とした計算づくの楽曲作りが昇華してついに「狂気」でロック界の頂点に登りつめたわけですが、その元カリスマのあまりに変わり果てた姿にウォーターズはじめ幾人かは涙が止まらなかったと後に彼らは語っています。
 
そして、まさしくバレットがスタジオに来たその時に録音していたアルバムの大半を占める「Shine On You Crazy Diamond」は異質の世界にいってしまった彼をテーマにした曲であり、彼への思いを更に深く掘り下げた詞が綴られた曲が「Wish You Were Here」・・というのが私のこれまでの認識だったのですが、改めてネットで調べるとウォーターズは「Crazy Diamond」含め特定の人物のことを書いておらず、もっと普遍的なものを書いたものと語っているんだそう。
しかし、ライブでこの曲を演奏するときにデヴィッド・ギルモア(g)はバレットが頭を過るとも語っていて、どちらにしろバレットの生き様にインスパイアされた楽曲であることは間違いないと思われます。
 
フロイドといえばウォーターズの詞が重要な部分を占めますがそれでも先に曲ありきで詞は後付けが通常のパターンであるらしいんですが、この「Wish You Were Here」については詞が先行してできあがり、その後に曲をつける際に難航したと言われています。
冒頭部分のノイズ気味のギター音にクリアなギター音が被さってくるところはAMラジオから流れるギターに合わせてそれを聴いている者がギターを弾く場面をイメージしたもの。
曲は吹き荒ぶ風のSEで終わりますが、アルバムではその風の音の中、ベース音とギター音が入ってきて"Shine On You Crazy Diamond (Parts VI–IX)"へとシームレスで繋がります。このブリッジ、そしてCrazy Diamondのイントロへの流れこそが正しくフロイドの真骨頂と言えるかと。
苦悩の産物であるこの同名タイトルのアルバム(75年)は全英と全米ともに1位となり、フロイドファンからはフロイドの最高傑作に位置づけられています。
 
先の話に戻しますが、録音作業中に数年ぶりにメンバーの前に現れたシド・バレットは「何かの役に立ちたい」と当時メンバーに語ったといいます。
偶然にもスタジオに現れた当日はEMIの食堂にてギルモアの結婚披露宴が予定されており、彼も急遽参加することに。
他の参加者に嫌悪感を与える不気味な笑いと異様な凝視の容貌を繰り返していたものの、宴がつづくその場から突如バレットは姿を消し、以後メンバーの前に現れることは二度とありませんでした。(2006年死去)
 
 

 
Wish You Were Here
 
 
So, so you think you can tell
Heaven from hell
Blue skies from pain
Can you tell a green field from a cold steel rail?
A smile from a veil?
Do you think you can tell?
 
And did they get you to trade
Your heroes for ghosts?
Hot ashes for trees?
Hot air for a cool breeze?
Cold comfort for change?
Did you exchange a walk-on part in the war
For a lead role in a cage?
 
How I wish, how I wish you were here
We're just two lost souls swimming in a fish bowl
Year after year
Running over the same old ground
What have we found?
The same old fears
Wish you were here
 
 
Songwriter(s): David Gilmour,  Roger Waters
 
 
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